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2019.04.01更新
 

顧客のニーズの洗い出しが奏功。よみがえる「固形せっけん」。
 

 液体や泡タイプに押され、一時は、市場自体の消滅さえささやかれていた「固形せっけん」ですが、ここにきて再び見直され、SNSを発信源としてじわじわと復活劇が始まっています。
最近では、お尻用、背中用、二の腕用、足裏用など、女性のニーズにきめ細かく対応した部位別の固形せっけんも登場して、人気に拍車をかけています。
中でも、固形せっけんの代表格であり、発売90年のロングセラー商品でもある「牛乳石鹸」(正確には「カウブランド 赤箱」)が、“洗顔用”として大ブレーク。もともとは体を洗う浴用せっけんですが、ミルク成分(乳脂)がたっぷり配合されているためニキビ肌の改善や乾燥肌、敏感肌にも効果的と、利用者の口コミなどで話題となりました。この、埋もれていた価値の発掘がメーカーを動かし、製造販売元の[牛乳石鹸共進社]では赤箱洗顔ファンを“赤箱女子”と命名し、SNS上に赤箱の魅力を語り合う場を開設。さらに昨秋には、京都で、赤箱の泡立ちや香りを体感してもらおうと、期間限定で「赤箱AWA-YA」を開店するなど、赤箱ファンの拡大に積極的です。

赤箱が“若い女性×SNS”なら、“主婦×試供品”の戦略で10年前の6倍近い販売個数を記録したのが、洗濯用の固形せっけん「ウタマロ石けん」です。洗濯機洗いでは落ちにくいガンコな汚れ用の“部分洗い”せっけんの横綱。1957年に発売されましたが、ライフスタイルの変化に取り残されるかのように売り上げは右肩下がり。販売終了の瀬戸際だったところ、愛用者から存続を求める声が相次ぎ、2000年以降、“部分洗いといえばウタマロ” という口コミが拡散して徐々に業績が回復。
製造販売元である[東邦]の販売戦略は、店頭やイベント会場での実演と、幼稚園、少年野球チームなど、泥汚れが付くと思われるスポーツ少年少女たちの親へ向けたサンプリング。毎週末に配り続けて10年。サンプル配布数は年間50万個に上ります。
[花王]も、部分洗いのマーケットに再注目し、昨春、ブラシ付き固形せっけん「アタック プロEX石けん」を発売。強力な泥洗浄力に特化した製品です。

浴用せっけんでの洗顔、部分洗いに特化-----利用者の生活の中にこそ、メーカーも見落としがちなヒットの芽が潜んでいるということに、改めて気付かせてくれた事例でした。たまたま、いま、光が当たっていなくても、再び光り輝くのを待っている製品は、まだまだありそうです。                        


※参考:
牛乳石鹸共進社       https://www.cow-soap.co.jp/
東邦            http://www.toholtd.com/
花王            https://www.kao.com/jp/
日経МJ(2018年11月23日付)




ITでぐっすり快眠。睡眠負債の返済をサポートする、「スリープテック」。
 

いま、ビッグデータやIoT、AIなど、IT(情報技術)を活用してその分野を劇的に革新していくような取り組みは、「〇〇テック」と呼ばれ、さまざまな分野に広がりを見せています。
その動きが“睡眠”にまで波及し、世界的規模で盛り上がっているのが「スリープテック(SleepTech)」です。昨年、ラスベガスで開催された国際家電市で初めて“スリープテックゾーン”が設けられたように、ここ数年のスリープテックの進化は目覚ましく、市場規模も兆単位で膨らみ続けると予測されています。なにしろ、ターゲットは世界中の人々、利用頻度は毎日という好条件が約束されているマーケットなのですから。

テクノロジーで睡眠の課題を解決し、睡眠の質を高めようとするスリープテックは、主にスマホを使った“アプリ系”、家電や音響機器メーカーによる“家電系”、そして異業種から参入の“その他”と、大きく3つにグルーピングされます。
[エキサイト]が、ヨガスタジオ[スタジオ・ヨギー]と共同開発したのが、スマホアプリ「寝たまんまヨガ 簡単瞑想」。あおむけになり、アプリから流れる癒しのミュージックとともにゆったりとしたナレーションのガイドで、ヨガをしたまま眠りにつけるというもの。“寝落ちアプリ”として評判になっています。
“ふとんクリーナー”でお馴染みの[レイコップ・ジャパン]から、世界初となる“ふとんコンディショナー”「レイコップ フトコン」が発売されました。人間の快眠温度とされる33℃をキープするため、足元に置いたマシンが、温度センサーの付いた専用のマットレスへ風を送り込む仕組みで、ふとんの中の温度を微妙にコントロールしてくれます。送風マシンと専用エアマットのセットで12万8000円(税別)。
“おはなし”を聞かせながら眠りにいざなうのは、睡眠サポートロボット「ネモフ」([パルスボッツ])。ふわふわしたぬいぐるみ状のロボットで、頭部を押すと反応し、16種類の“おはなし”を優しい声で読み上げてくれたり、オルゴールを奏でてくれます。価格は、1体2万9700円(税込)。
音響大手の[BOSE]からは、ビーチに打ち寄せる波の音などのヒーリングサウンドで不快なノイズをブロックしながら睡眠をサポートしてくれる「ノイズマスキングスリープバッズ」(税込3万2400円)が発売。超小型で完全ワイヤレスのため、寝返りなど、どんなに動いても大丈夫です。

日本人の平均睡眠時間は先進国の中でも最低レベルで、男女とも40代の働き盛りの中高年が“最も寝ていない”という結果も(2017年/厚労省)。
ヒツジたちに代わって、ITが快眠をもたらしてくれる「スリープテック」という巨大市場。日本でも、ビジネスチャンスが本格的に目を覚ます時がやって来たようです。


※参考:
エキサイト         https://www.excite.co.jp/
レイコップ・ジャパン    https://www.raycop.co.jp/
パルスボッツ        https://palsbots.net/
BOSE            https://www.bose.co.jp/
厚生労働省         http://www.mhlw.go.jp/
日経МJ(2018年11月9日付/同12月7日付/同12月17日付)



目に見えない“愛着度”を数値化。これからの経営のカギ、「顧客推奨度」とは。
 

「あなたは、この〇〇(製品・サービス)を友人や同僚に薦めたいと思いますか?」
-----最近、お客様アンケートなどでこんな質問に出会うことが多くなりました。これは、企業そのものや、その企業の製品・サービスといったブランドに対する顧客の信頼度・愛着度(顧客ロイヤルティー)を測定して数値化するための質問で、「NPS=ネット・プロモーター・スコア(顧客推奨度)」と呼ばれる手法です。いわば、これまで計測することが難しいとされていた“ファン度の見える化”で、2003年に米国で開発。アマゾンやアップル、P&G、レゴなど、顧客志向の高い大手企業がこぞって導入し、有効性が証明されたことで急速に広がっていきました。
測定方法は、冒頭の質問に0〜10点の11段階の評価で答えていくというシンプルなもので、その数値によって3つのカテゴリーに分けられます。9・10点が、満足度・再購入率ともに高く、他者への推奨度も高い顧客で「推奨者」。7・8点が、とりあえず満足はしているが他者に紹介するほどでもない「中立者」。0〜6点が、製品に不満を持っていて悪評を広める恐れのある「批判者」。回答者全体に占める「推奨者」の割合から「批判者」の割合を差し引いた数値がNPSとなります。仮に、推奨者50%、批判者30%なら、20%がNPS値です。

「あなたは、この〇〇(製品・サービス)に満足しましたか?」------これまで、多くの企業で行われてきた「顧客満足度(CS)」調査の質問です。NPSと、どこが違うのでしょう。
大きく違うのは、業績との相関性。つまり、収益性と連動しているか否か、という点です。CSが、あくまでも過去〜現時点での満足度評価なのに比べ、NPSは“薦めたいと思いますか”という未来のアクションを想定した行動予測が点数化されるため、今後の売上高や成長率に直結すると考えられています。実際に、ある製品から離反した客のうち、80%もの人が、直近のCS調査では「満足」「とても満足」と答えていたという、ぞっとするような調査結果もあります。大きな不満がないというだけで「満足」と回答する人が多く、その時「満足」していても、その後の購買行動に結びつくとは限らないことを如実に物語っています。
NPSが向上するということは、批判者が減って推奨者が増えることを意味しており、その結果、再購入・継続購入・追加購入の増加や購買単価の上昇、さらに他者へのポジティブな口コミといったメリットを企業にもたらします。

欧米では、業績上位企業の3分の1以上がNPSを活用。日本の企業の間でも、その効果は認識され、導入が進みつつありますが、CSの普及率と比べるとまだまだ“発展途上”といったところ。今後は、日本人の特性に準じた質問の設定や結果の分析などの開発がカギとなりそうです。


※参考:
日経МJ(2018年11月16日付)



 
 
 
 
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