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2011.05.02更新
 

ファッション誌に続け! シリコンで過熱する「付録付き料理本」。
 

休刊が相次ぐ雑誌業界の中で、ひとり気を吐き好調をひた走るのが「付録付き雑誌」。2011年に入ってもその勢いはとどまることを知りません。書店では専用のコーナーも設けられ、むしろ付録の付いていない雑誌に物足りなさをおぼえてしまうというほど定番化してきたようです。

その波が、今度は料理本にも波及しています。人気の付録は、いま話題の「シリコン製調理器具」。なかでも電子レンジを使って肉・魚・野菜・パスタなどが手早く調理できるのが“売り”の、「シリコンスチーマー」という鍋型の電子レンジ専用蒸し器です。

ブームのきっかけは、2009年に発行された世界文化社の「Paris発、パウンド型で50のケーク」(1,890円)にシリコン製のケーキの型を付けてヒットしたのが始まりでした。

そして昨年、そのブームにさらに拍車がかかります。

角川マーケティングから昨年10月に『料理上手になる全116レシピ 5WAYシリコンスチームなべつき はらじゅく畑のヘルシー食堂』(3,200円)が。続いて幻冬舎から『シリコンスチーマー付き 栄養たっぷり楽チン!クッキングレシピ』(1,600円)。さらに小学館からは『ルクエスチームケースつき はじめてでもちゃんと作れる ルクエごはん スペシャルセット』(4,200円)と、数日ちがいで続々と出版されました。

ちなみに「ルクエ」は、スペインのキッチンツールメーカーで、シリコンスチーマー容器の元祖といわれています。

そして、発行以来3カ月で35万部を記録してベストセラーとなったのが、主婦の友社が昨年10月に出した『シリコンスチームなべつき 使いこなしレシピBOOK』(1,680円)。書店に並ぶやいなや売り切れが続出したといいます。

付録付き雑誌のパイオニアともいうべき宝島社は、ファッション誌で培ったノウハウを活かしてフランスのキッチンツールメーカー「マストラッド」のシリコンスチーマー「パピヨット」の限定オリジナル品まで開発。昨年12月に出版された『体の中から元気になるパピヨットレシピ』(1,580円)の付録として話題となりました。

今年に入ってからは、集英社の『高級シリコンスチームプチ鍋付き 簡単スイーツ&ヘルシー野菜レシピ50』(1,470円)のように、器具のファッション性より雑誌の価格にこだわった付録本も登場してきています。

20〜40代の共働きや子育て中の主婦をターゲットの中心に据えていたこの種の料理本も、いざフタを開けてみると、意外にも一人暮らしの男性や火を使わないので高齢者からの支持を得ているということがわかりました。

以前からシリコン製調理器具に興味はあるものの、高価なので…(有名ブランド品は3,000〜5,000円)と尻込みしていたハードルを、これらの料理本がクリア。外食を控える内食派の増加を根底に、お得感を前面に出して売りにつなげる「付録付き料理本」に、今後も注目です。

※参考:
世界文化社    http://www.sekaibunka.com/
角川マーケティング   http://www.kadokawa-mktg.co.jp/
幻冬舎    http://www.gentosha.co.jp/
小学館    http://www.shogakukan.co.jp/
主婦の友社  http://www.shufunotomo.co.jp/
宝島社    http://tkj.jp/
集英社    http://www.shueisha.co.jp/
ルクエ    http://www.lekue.jp/
マストラッド   http://www.mastrad.jp/
日経産業新聞(2011年2月3日付)


生き残る道は各社各様、「紳士服量販店」サバイバル。
 

いわゆる「紳士服量販店」の勢力図は、売上高順に、「青山商事」(広島県福山市/786店)、「AOKIホールディングス」(東京都/493店)、「コナカ」(横浜市/359店)、「はるやま商事」(岡山市/366店)の4強で形成されています。郊外の幹線道路沿いには、このうちのどれかが必ず目に入るほどです。

しかし、1974年に「洋服の青山」の1号店が誕生して以来、順調に伸び続けてきた紳士服市場も、’92年をピークに縮小の一途をたどり、’97年に約 5,300億円だった市場規模は2009年には約2,300億円と、12年間で半分以下まで縮んでしまいました。その要因として、経済不安による消費低迷、低価格競争の激化による商品単価の下落、外資系ファストファッションの台頭、オフィスウェアのカジュアル化とクールビズの普及によるスーツ離れ、そしてスーツの最大のお得意様だった団塊世代の大量退職、などが挙げられます。

そこで4強各社は、出店や商品に関する戦略の見直しを図り、新たな顧客獲得を実現するための仕掛けづくりに乗り出しました。

「青山」は、銀座、渋谷といった都心の一等地に標準店の2倍近い売り場面積の大型旗艦店を出店し、他社との差をさらに広げるべく攻勢をかけます。昨年2 月、100億円を投じて稼働させた首都圏店舗専用の物流センターをフル活用して一日2回の多頻度配送を実現。さらに、カジュアル衣料事業のテコ入れを狙って、米カジュアル大手の「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」と提携。来春、原宿に1号店をオープンさせる計画です。

「AOKI」は、シャツに重点を置いた20〜30代男女向けのカジュアルウェア店「オリヒカ」をショッピングセンター内を中心に展開。現在の66店を3年間で100店以上に拡大したい意向で、スーツ主体の商品構成からの移行を図ります。

「コナカ」は、低価格でオーダースーツが作れる「スマートクロージングO・S・V」を展開。また、ヤング向けの「スーツセレクト」では有名デザイナーを起用してファッション性の高さをアピールしています。

「はるやま」は、ツープライススーツ店「パーフェクト・スーツ・ファクトリー プラチナ」が4社の中で唯一、大手百貨店に進出。そこでは、紳士服と婦人服を複合的に展開するというユニークな試みも行われています。また、大きいサイズのスーツ専門店「フォーエル」や都市型レデイスカジュアル店「ミリオンカラッツ」などを展開。さらに、イタリアやイギリスの高級服地メーカーと共同で生地を開発したり、医療機器メーカーと磁気健康スーツを共同開発するなど、他の3社とは一味ちがう多種戦略で挑みます。

立地面では、郊外型店舗から都市型店舗へ。商品面では、脱スーツ化でカジュアルファッション重視へ。顧客ターゲット面では、若年層中心にシフト。これが最近の「紳士服量販店」の傾向のようです。さて、シェア争いが過熱するなか、各社生き残りを賭けて打った“次の一手”が功を奏するのは…?
※店舗数はすべて2011年1月現在

※参考:
青山商事    http://www.aoyama-syouji.co.jp/
AOKIホールディングス   http://www.aoki-hd.co.jp/
コナカ     http://www.konaka.co.jp/
はるやま商事  http://www.haruyama.co.jp/
日経MJ(2011年2月4日付)


異種同士が組んで新たな価値を。あちらこちらに「ハイブリッド現象」。
 

ハイブリッドカーの普及で一躍脚光を浴びるまでになった「Hybrid」という言葉。もともとは生物学の品種改良に関する用語で、異質のもの同士を組み合わせて作り出された新種のことを指す言葉です。掛け合わせることで、両者の持つ特性・長所が効果的に引き出されること。同時に、双方にメリットがあり、かつ掛け合わされて生まれた“新種”が、単独で機能していたときよりも優れたものになっていることが条件となります。

近頃、巷では、この“異種混成”をコンセプトにした「ハイブリッド現象」ともいうべき事象が様々な分野で見受けられるようになりました。

特に、客層の拡大が急務のコンビニ業界は異業種との連携に積極的です。

「ファミリーマート」と「TSUTAYA」は昨年12月、初の一体型店舗を東京・品川にオープンしました。店内は双方の仕切りはなく、回遊自由。平日の利用客が多く週末の利用客が少ない都心型コンビニと、平日より週末利用客の多いレンタル店が、互いのメリットを発揮しつつ弱点を補完しあうという、 WIN-WINのハイブリッド理想形といえます。

他にも「ローソン」×「マツモトキヨシ」、「サークルKサンクス」×ドラッグストア「セイジョー」がそれぞれ業務提携し、新型店を展開。新たな客層の取り込みを狙います。

分譲マンションの業界も、ハイブリッド化がトレンドのようです。

東京建物が手がけるのは、東京・豊島区の「庁舎」×「分譲マンション」のハイブリッド。区役所の出張所ではなく、庁舎がまるごとマンションと同居するという珍しい試みです。48階建てで3〜9階が区庁舎、11階以上が住居となる計画で、完成は2015年。

また、東京都と三井不動産レジデンシャルなど4社が目黒区に開発を進めるタワーマンションにも、区立図書館や区役所出張所などの公益施設が入る予定。

一粒で2度おいしいではありませんが、一錠で2つの症状を改善するとうたう“ハイブリッド薬”も登場しました。

「便秘」×「肌荒れ」へ同時に効く「ナチュラートコーワ」(興和)。“肌系便秘薬”と銘打って昨年10月に発売されました。

「冷え性」×「しみ」という、一見意外な取り合わせの改善をうたうのは、「東漢美方(とうかんびほう)Asahi当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)錠」(アサヒフードアンドヘルスケア)。同社の漢方薬シリーズ第2弾として昨秋発売されました(第1弾は「肩こり」×「しみ」)。

「ガソリンエンジン」×「電気モーター」から生まれたハイブリッド車が、品種改良の新種として認知されたように、様々なステージで繰り広げられている異種掛け合わせの今後が楽しみです。はたして、どんな新種にお目にかかれるのでしょう。

※参考:
ファミリーマート http://www.family.co.jp/
ローソン http://www.lawson.co.jp/
サークルKサンクス http://www.circleksunkus.jp/
東京建物 http://www.tatemono.com/
三井不動産レジデンシャル  http://www.mitsuifudosan.co.jp/
興和     http://hc.kowa.co.jp/
アサヒフードアンドヘルスケア  http://www.asahi-fh.com/
朝日新聞(2011年1月27日付)
日経産業新聞(2011年2月9日付/同2月16日付)


 
 
 
 
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