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2013.09.02更新
 

夢の工作機械「3Dプリンター」。今後10年で5倍に拡大予想。
 

2次元の紙を印刷するかのごとく3次元の立体に変換するという、社会にイノベーション(革新)を起こす画期的なツールとして世界的に関心が高まっている「3Dプリンター」。CAD(コンピューターによる設計)やCG(コンピューターグラフィックス)で作った3次元データを基に、厚さ数mm〜数μmの断面形状を樹脂などで積層させて立体物を造形していく機器です。

オバマ大統領に、「モノ作りを革命的に変える可能性を秘めている」とまで言わしめた「3Dプリンター」ですが、技術や機器自体は30年ほど前から存在しており、自動車や航空宇宙産業などの開発時のプロトタイプ(試作品)作成用として使われてきました。ここに来て脚光を浴びているのは、産業用で一台数百万円から数千万円もした「3Dプリンター」の小型化・低価格化が急速に進み、一台数十万円というクラスまで登場して、個人でも手が届くところまで身近になってきたことが挙げられます。

市場的には、業界トップの[ストラタシス]と、2位の[3Dシステムズ]、この米国勢の2強が、市場の過半を握っています。積層技術をはじめとした基本的な特許を米企業が押さえていたこともあり、日本勢の出遅れは否めません。しかし今後、特許が切れると、ベンチャーも含めた国内の精密機械メーカーなどの参入が期待されます。

いま沸き上がっているのが、“金型(かながた)不要論争”です。「3Dプリンター」を使えば、大幅な時短が実現し、開発コストも削減されることから、熟練の金型職人は要らなくなり、下請け工場の仕事が奪われるのでは、という不安の声が上がる一方で、それは考えづらい。寸法精度やコスト面で金型の成形には到底かなわない、という声も。さらには、当の金型メーカー側が「3Dプリンター」の導入を積極的に検討している例もあるなど、模索論争は熱を帯びています。

現在、自動車、家電、ファッション、スポーツ用品などの製造業を中心に、建築、医療、教育といった幅広い分野で利用されている「3Dプリンター」。米国の調査会社の試算によると、世界市場は今後10年で5倍にまで拡大するとはじき出しています。

紙に描いた絵が立体的に生まれ変わる、感動。自分自身やペットのフィギュアや自分でデザインしたアクセサリーなど“世界で一つだけ”を身につける楽しさ。
高価で大袈裟で、ごく一部の人のものだったコンピューターが、ダウンサイジングされて一般家庭に普及したパソコンのように、「3Dプリンター」も一家に一台の時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

※参考:
日経産業新聞(2013年6月4日付/同6月5日付/同6月14日付/同6月20日付)


地味ですが刺激的な市場です。中高年の歯茎の味方、「高機能ハミガキ剤」。
 

50〜60代の中高年を中心とした歯や歯茎の健康に対する意識の高まりを背景に、オーラルケア市場が堅調な伸びを見せています。そのけん引役となっているのが、「高機能ハミガキ剤」。歯周病や知覚過敏の予防などをうたった、医薬部外品のハミガキ剤です。
見聞きして、知ってはいるけど、きちんと識らないのが“歯周病”。歯垢(プラーク)の中の歯周病菌が歯茎に炎症を起こして徐々に周りの組織を破壊していくという細菌感染症のことですが、痛みなどを伴わないので、別名“サイレント・ディジーズ=静かに進行する病気”とも呼ばれ、悪化すると歯を支える骨を溶かし、やがて歯が抜け落ちてしまうという怖ろしい病です。さらに、歯周病にかかっている人が、成人の8割近くもいて(2011年歯科疾患実態調査/厚生労働省)、しかも7割の中高年が自分の症状に合ったハミガキ剤を選べていないという現実も。

高機能化が進むハミガキ剤の最近の傾向は、“高単価”。中価格帯(200〜499円)のファミリー向け製品が振るわない一方で、500円以上の高価格帯製品の売れ行きが好調です。
メーカー各社は、独自の有効成分を打ち出して“高機能”を競っています。
オーラルケアで最大手の[ライオン]は、抗炎症、ひきしめ、血行促進、殺菌の4つの作用が、弱ってきた歯茎に有用に働き、腫れ・出血を伴う歯槽膿漏を防ぐのに効果的な「デントヘルス薬用ハミガキSP」を昨秋、発売(実勢価格1,400円前後)。独自に開発した粘性の高い高分子により、薬用成分を含んだ泡が歯茎にとどまって直接作用する“高密着処方”が歯周病菌の殺菌に、より効果を発揮します。
[花王]は今年2月、「ディープグリーン」ブランドの全面見直しを図りました。「ディープグリーン薬用ハミガキ」は、ハミガキ剤の届きにくい、歯と歯茎の間(歯周ポケット)奥深くまで薬用成分が届きやすいようにと、浸透性を高める処方を施しました(実勢価格850円前後)。
「GUM」ブランドでお馴染みの[サンスター]からの高機能ハミガキ剤は、「GUMアドバンスケア」シリーズの「デンタルペースト」(実勢価格700円前後)。歯茎の炎症を抑え、歯周病菌の殺菌効果を高めることで歯茎の活性化をアピールします。
加齢などによる歯茎の衰えからくる“歯茎下がり”に焦点を当てて、ユニークな展開をするのは[小林製薬]の薬用ハミガキ「トマリナ」(720円)。“歯が長くなった、と感じたら”というリアリティあふれるコピーにはドキリとさせられます。

今後は、“高機能・高単価”商品を志向するユーザーと、低価格の汎用品を志向するユーザーの二極化がさらに進むと思われます。「高機能ハミガキ剤」市場は、数量ベースでの拡大より、価格が高くとも確かな需要が見込めることから、売上高ベースでの市場拡大が期待されます。

※参考:
ライオン       http://www.lion.co.jp/
花王        http://www.kao.co.jp/
サンスター     http://www.teamgum.net/
小林製薬     http://www.kobayashi.co.jp/
日経産業新聞(2013年6月21日付)


サービスも続々登場。ネットで育つ「ペット関連」市場。
 

少子高齢化社会の進行や単身者世帯の増加に伴い、ペットは単なる“動物”ではな くなりました。“子供”であり“パートナー”としての存在が大きくなり、ペットと人を取り巻く環境も大きな変化を遂げています。
飼い主の愛情を一身に受けて育てられるため、寿命が延び、飼い犬の平均寿命も13歳を超える(人間の72歳相当)までになりました。同時に、人間同様、肥満や糖尿病といった生活習慣病の類の病気にかかるペットも増えてきました。
それにつれ、ペットの日々の健康管理をサポートしてくれるサービスの需要も大きくなっています。

[富士通]から昨年11月に発売された「わんダント」(9,800円)は、ペット業界初の“愛犬歩数計”です。16gと軽量で、犬の首輪に装着するだけで、24時間、歩数を記録。前後・左右・上下という3方向の動きに対する加速度の変化を検出する“3D加速センサー”と、前脚の動く早さや脚の長さをベースに歩数測定する“動作推定技術”を併用することで、犬の歩数の自動カウントを実現しました。また、ストレスや体調の目安とされる“震え(ぶるぶる動作)”や愛犬の周辺温度も測定。これら一連のチェックは、すべて10分単位で自動的に記録され、14日分が保存できます。蓄積されたデータは、おサイフケータイ機能付スマートフォンを「わんダント」にかざすだけでクラウド上にアップロードされ、専用のWebサイトで、一日や一週間単位の健康状態をグラフで見ることができます。

動物病院向け通販サービスを展開してきた販路を生かし、ペットの療法食を自宅に届けるネット販売を始めたのは、[プロミクロス]。全国約1,000の動物病院と連携し、ペットを直接診断した上で、適切な栄養成分の量や比率を調整した“療法食”を処方。初回のみ病院での購入となりますが、次回以降は、自宅から直接[プロミクロス]に注文・購入できます。飼い主にとっては、その都度病院に出向かなくても、かかりつけの医師による専用のフードが手に入るという安心感。一方、病院側にとっても、療法食の在庫管理・配送業務は[プロミクロス]が行うため、在庫スペースや在庫品の期限管理といった手間から解放されます。
その他、[トヨタ]が「TOYOTA DOGサークル」、[ホンダ]が「Honda Dog」など、愛犬とのカーライフ情報満載の専用サイトを開設しています。

犬猫の飼育頭数が、人間の15歳未満の子供の人口を上回るといいます(ペットフード協会調べ)。この巨大市場を巡って、ネットを生かしたペット関連ビジネスの幅は、今後ますます拡大しそうです。

※参考:
富士通         http://pr.fujitsu.com/
プロミクロス      http://www.promiclos.co.jp/
トヨタ自動車      http://dog.toyota.jp/
ホンダ技研工業   http://www.honda.co.jp/
ペットフード協会    http://www.petfood.or.jp/
日経産業新聞(2013年6月21日付)


 
 
 
 
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