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2015.01.05更新
 

少数派の不満をビジネスに。「小さなサイズ」の大きな市場。
 

ファッションや下着業界で、少数派の不満をビジネスにつなげようとする動きが活発化しています。

通常、レディースのSサイズは、だいたい身長158cmのサイズを基準に作られているため、それ以下の小柄な人にとっては、袖丈や股下が長すぎる、襟ぐりが開きすぎる、アームホールがブカブカ、また着丈が長すぎるのでお直しするとシルエットが台無しになったりと、要するにぴったりサイズを着たことがない!というのが切実な悩みとなっています。

[ニッセン]が展開しているのは、身長152cm前後(147〜154cm)の20〜40代女性のためのライン「プッチージョ」(“プチ”な“女子”からネーミング)。前年比7割増と好調の要因は、同社独自のサイズ設計から生まれるフィット感。これまでの大多数の“小さなサイズ”は、単に標準サイズ(9号)をダウンサイジングしただけでしたが、「プッチージョ」は小柄な女性の骨格から見直し、肩幅、袖丈をはじめ、腰からヒップまでの長さなど細かいディテールまで測り、独自に型を起こしてショートサイズ設計されています。着た時のバランスを重視し、ボタンを小さめにしたり、襟や柄も小さめにするほどのこだわりも。

[三愛]の“小柄な女性”御用達店は、その名も「S357」(東京・銀座)。3号、5号、7号のサイズを中心とした品揃えで、店頭スタッフのほとんどが身長150cm前後という徹底ぶり。スタッフ自らが全商品をフィッティングし、細部にわたってチェックしています。

2012年に「すごい下着発明部」というプロジェクトを立ち上げた[ワコール]は、同社の人体計測データやSNSの書き込みなどを基にした“不満解決商品”を開発し、ネット通販で販売しています。そこから生まれた大ヒット商品が「Aカップさんのためのブラ」。2014年1月には、もっと小さな胸にも対応してほしい、とのリクエストに応えて「AAカップタイプ」も登場。シリーズ合計で目標を上回る好調な売れ行きを見せています。

イレギュラーサイズといえば、大きなサイズに力を入れるのが衣料業界の“常識”でした。大柄サイズの需要の方が市場的に大きいことに加え、“小さなサイズ”はロットが小さい分、原価率も上がり非効率と敬遠されてきました。にもかかわらず最近、大手百貨店やアパレルメーカーでは、積極的に“小さなサイズ”の独自ブランドを展開。ユーザーが長らく抱えていた不満が解消されれば、それは確実に固定客となってリピーターへとつながります。“小さなサイズ”という小さな市場は、大きな市場となり得る多くの“ヒットの芽”をはらんでいるといえます

※参考:
ニッセン  http://www.nissen.co.jp/
三愛    http://www.san-ai.com/
ワコール  http://store.wacoal.jp/
日経МJ(2014年10月3日付)


未体験の若者にも響いて、「アナログレコード」、復活の兆し。
 
「アナログレコード」(以下、レコード)が、「CD」に音楽ソフトの“王者”の地位を譲ったのが1986年のことでした。それ以来、年を追うごとにレコードの売り上げは落ち続け、世界的には2006年(約34億円)に、日本国内では2010年(約1億7,000万円)に、それぞれ底を打って、そのまま消えゆくかに思われました。ところが数年前から欧米を中心に再びレコードブームが沸き起こり、2013年の世界のレコード売上高は前年比27%(約220億円)の伸びを記録(IFPI=国際レコード産業連盟)。復活の波は日本にも上陸し、2013年の国内売上額が4億800万円にまで回復しました(日本レコード協会)。

今回の復活劇は、単に中高年層を狙った往年の名盤再リリースにとどまりません。若手ミュージシャンたち、例えば、木村カエラ、きゃりーぱみゅぱみゅ、パフューム、チームしゃちほこから、デヴィッド・ボウイやポール・マッカートニーなどのベテランまで、年代を超えて新譜をレコードでリリースしている点が注目されています。
この世界的なムーブメントを商機ととらえ、様々な動きが見られます。

2014年8月、[ローソンHMVエンタテイメント]では初となる、レコードとCDの中古専門店「HMV record shop渋谷」を、かつて“レコードの聖地”と呼ばれた渋谷区宇田川エリアにオープンしました。60〜90年代の洋楽LPを中心に、懐かしのドーナツ盤も含め、約8万枚を揃えたほか、レコードプレーヤーやカートリッジなどの関連商品も販売。

また同時期に、30年ぶりとなるレコードプレーヤーの新製品を発売したのが[パイオニア]。クラブなどで使用するプロ向けターンテーブル「PLX-1000」(約8万円)で、DJ用の高級機投入は同社初でもあります。

[パルコ]は、レコードを楽しむミュージックカフェ&バー「クアトロラボ」を昨年11月、東京・吉祥寺に開店。5,000枚を超えるレコードコレクションが夜のバータイムを演出します。

一方、レコード盤製造工場である[東洋化成]では、ここにきてフル稼働の状況が続き、新たなラインの確保もままならないほどの盛況ぶり。

データでの音楽配信が主流となったいまだからこそ、音に味があって温かく厚みのあるレコードの音質が見直され、心ひかれるのかもしれません。レコード人気再燃の流れは、スローフードのようなトレンドとなって広まり、それに呼応するかのようにレコードを核としたビジネスはますます活発になることが予想されます。

※参考:
IFPI(国際レコード産業連盟)    http://www.ifpi.org/
一般社団法人 日本レコード協会  http://www.riaj.or.jp/
ローソンHMVエンタテイメント    http://www.lhe.lawson.co.jp/
パイオニア               http://pioneer.jp/
パルコ                  http://www.parco.co.jp/
東洋化成                http://www.toyokasei.co.jp/
朝日新聞(2014年7月19日付)
日経МJ(2014年10月8日付)
日経産業新聞(2014年10月21日付)


「高級カプセルホテル」----世界に誇るジャパンオリジナルです。
 

“どうせ寝るだけだから”“安いから”と、どちらかといえば消極的な利用動機が主だった「カプセルホテル」ですが、最近では、狭苦しい・薄暗い・チープといったカプセルホテルのネガティブイメージを微塵も感じさせないデザイナーズマンションならぬ、“デザイナーズカプセルホテル”と呼ばれる「高級カプセルホテル」が続々と誕生。シンプルで機能的で清潔、安全。必要なものが快適に揃う高いコンパクト性で、新しい宿泊スタイルを提案しています。

2014年7月、成田空港内では初となる空港直結のホテルが誕生しました。「9h(ナインアワーズ)成田空港」という名の高級カプセルホテルです。汗を洗い流すのに1時間+眠るのに7時間+身支度に1時間、計9時間の機能だけに絞り込んだ先鋭的ホテル。“スリーピングポッド”というオリジナルのカプセルユニットは、光で入眠して目覚める“寝室環境システム”を採用して良質の眠りを提供しています。黒を基調とした室内デザインは、グッドデザイン賞の金賞に輝いたほどのスタイリッシュさ。全129室(男性71、女性58)。宿泊料金3,900円。12時からのチェックイン、翌午前10時チェックアウト。デイユースは1,500円から。同ホテルは他に「9h京都」を運営しています。

秋葉原、羽田、京都烏丸、御堂筋難波、博多と、5ヵ所で展開しているのは、飛行機のファーストクラスをイメージした高級カプセルホテル「ファーストキャビン」。2012年に開業した「羽田ターミナル1」は、早期便や深夜便の利用者、欠航・遅延時などの緊急利用の他、施設従業員の利用にも対応。99%を超えるという、驚くべき稼働率で推移しています。ファーストクラス(5,900円)は120cm幅のベッドに32インチテレビ。ビジネスクラス(4,900円)は100cm幅のベッドに26インチのテレビを完備。デイユースはファーストクラス2時間2,000円から、ビジネスクラス2時間1,600円から。同社は今年から、首都圏や関西を中心に出店攻勢をかけ、2020年までには50店に拡大する計画です。

“高級カプセルホテル”は他にも、「トラストイン博多」や都内3ヵ所(新橋、秋葉原、新宿)で展開する「豪華カプセル 安心お宿」など。

政府は、2020年、東京五輪の年に2,000万人の外国人観光客を見込んでいます。しかしそれは同時に、都内で1万室以上の客室不足を招くとの指摘もあります。「高級カプセルホテル」は、その受け皿としての需要を視野に入れつつ、今後、外国人や女性といった新しい顧客取り込みへの期待が高まっています。

※参考:
9h                   http://ninehours.co.jp/
ファーストキャビン         http://www.first-cabin.jp/
トラストイン博多          http://www.hotel-trustinn.com/
安心お宿              http://www.anshin-oyado.jp/
日経МJ(2014年10月15日付)


 
 
 
 
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