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2015.08.03更新
 

本当の“特別”って?新鮮味薄れる、「プレミアム商品」。
 

少々価格が高いにもかかわらず、より良い素材や製法にこだわって、消費者の“プチ贅沢”需要を取り込んでいる「プレミアム商品」。食品業界を中心にさまざまな分野で花盛りで、極み、ゴールド、本格、贅沢、大人の、特撰、リッチ、匠、などといったワードを冠に、定番商品よりワンランク上の高級イメージで訴求し、購買意欲をかき立てます。

しかし、そんな順風満帆かに見えた「プレミアム」市場も、ここにきて風向きが変わってきたようです。これだけ出回るともはや“氾濫”ともいえる状況で、「プレミアム」という言葉の持つ“特別な”“希少な”“選ばれた”という本来の特別感が薄れてきたのです。

そもそも「プレミアム」を定義する明確な基準はありません。言い換えれば、メーカーによってマチマチです。通常商品より製法や材料がコスト高になった分、価格に上乗せさせたから「プレミアム」だったり、濃厚な味付けで“プレミアム感”を出したり、高級感のあるパッケージで「プレミアム」商品に格上げされたり、果ては企画担当者の直感だけで「プレミアム」と命名されることも。

なかには、「消費者の優良誤認につながりかねない表現は基本的に禁止している」(雪印メグミルク)、「何をもってプレミアムなのか判断できない」(マルハニチロ)といった姿勢で「プレミアム」を名乗らない企業もあります。また、「セブンゴールド 金の食パン」が大ヒットした[セブン&アイ・ホールディングス]では、「ゴールドを、そう簡単につけてはいけない」という厳しい基準を設けています。

消費者は「プレミアム商品」を、“高価格なのだから当然おいしいだろう”との思いで購入します。しかし、“おいしくなかった”“通常商品との違いを感じない”“素材の良さを感じない”といった声も少なくなく、ある消費者調査によると、3割強が“買ってがっかり”との感想も。

皮肉なことに、トレンドとなった故に消費者の感覚がマヒし、その神通力が薄らいだ感のある「プレミアム」商品の数々。もはや、売らんがための名前だけの「プレミアム」では、他社との差別化にはならないことは明らかなようです。

※参考:
サントリー食品インターナショナル  http://www.suntory.co.jp/
大塚食品           http://www.otsukafoods.co.jp/
カルビー            http://www.calbee.co.jp/
森永乳業           https://www.morinagamilk.co.jp/
山崎製パン          https://www.yamazakipan.co.jp/
湖池屋             http://koikeya.co.jp/
雪印メグミルク        https://www.meg-snow.com/
マルハニチロ         http://www.food.maruha-nichiro.co.jp/
セブン&アイ・ホールディングス  http://www.7andi.com/
日経МJ(2015年5月15日付)


あえてチャレンジ。熾烈な「カフェ戦争」に、業態越えて続々参入。
 

飲食業界の中で数少ない成長市場として注目されている、カフェ業態。2年前に出現したコンビニの“レジ横コーヒー”が、2014年、前年比48%増と絶好調。さらに、再び“純喫茶”風のフルサービスの良さが見直され始めた一方で、今年2月、米国から“第三の波(サードウェーブ)”と呼ばれる新しい潮流が日本に押し寄せました。豆の産地(指定農園)や焙煎方法にひときわこだわり、1杯ごとにハンドドリップで提供するというコーヒー文化で、その代表的存在で“コーヒー界のアップル”といわれる「ブルーボトルコーヒー」の国内1号店がオープンしました。

2013年のカフェ市場規模が前年比4%増の約1兆600億円(「日本フードサービス協会」)。また、国内でのコーヒー消費量が2014年に過去最高を記録するなど(「全日本コーヒー協会」)、カフェ市場が活況を呈しているのとは対照的に、ファミレスやファストフードなどの外食産業の市場規模は年々縮小し、不振にあえぐ冬の時代が続いています。外食大手各社はそんな窮地を脱すべく、業種の垣根を乗り越え、好調なカフェ業界への本格参入へと舵を切ります。

ファミレスの草分け的存在の[すかいらーく]が今年3月、45年の歴史の中で初の試みで挑むカフェ業態「むさしの森珈琲」をオープンしました。ソファ席で癒しを演出した店内。ハンドドリップ提供やスイーツにも力を入れ、客単価平均1,000円と採算性も高く、新たな収益の柱に育てたい考え。

「庄や」などの居酒屋チェーンを展開する[大庄]は、ベーカリーカフェ「ミヤビカフェ」を昨年、神戸に1号店を、今春、東京に2号店をオープンしました。通常の食パンの2倍以上の時間をかけた高級デニッシュ「ミヤビ」を中心としたメニューが売りで、15年度中に3号店を開店予定。

[日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)]のカフェタイプ1号店は「フォレスタ六甲店」(神戸)。注文時に好みの豆を選び、その場で挽いて専用器具で自ら抽出するフレンチプレス式の「エイジングコーヒー」やパンケーキ、コーヒーゼリーなどスイーツ類も充実。

讃岐うどん店「丸亀製麺」を展開する[トリドール]は、今春、郊外型のカフェ事業に本格参入を表明。現在、香川県内で実験的に運営している「クローバー珈琲焙煎所」を全国チェーンとして展開する計画です。

収益性が低下している既存店から、新たな収益確保を狙ってカフェへと業態転換を図る外食各社。その、起死回生を目指した参戦ぶりに大きな関心が注がれています。

※参考:
日本フードサービス協会  http://www.jfnet.or.jp/
全日本コーヒー協会     http://coffee.ajca.or.jp/
すかいらーく          http://www.skylark.co.jp/
大庄               http://www.daisyo.co.jp/
日本KFCホールディングス http://japan.kfc.co.jp/
トリドール            http://www.toridoll.com/
日経МJ(2015年5月11日付)


現代ニッポンの象徴。進化をやめない、「自動販売機」市場。
 

設置台数だけを見ると米国に次いで2位ながら、面積当たりの密度では世界トップの“自販機大国”ニッポン。2000年の560万台をピークに、その後は若干の減少傾向を見せながらも、2014年の台数は約504万台と健闘しています(「日本自動販売機工業会」)。

自販機の歴史は、飲料メーカー各社による省エネ技術の進化の足跡でもあります。

その一つに、[日本コカ・コーラ]が2013年から展開する“ピークシフト式”があります。夏は7時から23時まで、冬は8時から22時までにわたって機内のすべての飲料の冷却運転を停止し、それ以外の時間帯(深夜〜早朝)の電力を使って冷却するという高機能システムです。また[サントリー食品]では、昨年、消費電力量が国内最小といわれる「超省エネ自動販売機(エコアクティブ機)」の導入を始めました。

自販機で扱う商品も、リンゴ、バナナ、おでん、ラーメン、うどん、パスタ、カレー、お米、ハンバーガー、納豆などの食料から、文庫本やCD、DVD、お守り、ぬいぐるみ、ヘアケア商品(ヘアクリップ、シャンプーなど)。果ては、純金(保証書付き)やガソリンスタンド形式で給水する温泉(10Lで10円)といった変わりダネも。また、最新機として話題になっているのがデジタルサイネージ(電子看板)付きの次世代自販機です。内蔵された認証センサーが、利用者の顔から性別・年代を瞬時に識別。時間帯や気温などを加味しておススメ商品をディスプレーに表示し、タッチして購入します。“自販機のコミュニケーションツール化”という、今後の方向性を示唆する顕著な例といえます。

一方で、近年、自販機には社会貢献の面から“災害対応”という大きな使命が加わりました。多くの自販機には、災害発生時に無償で飲料水が提供できる“フリーベンド機能”が備わっています(停電時も作動可能)。

[キリンビバレッジ]は、AED搭載自販機や乳がんの早期発見を啓発する運動を支援する「ピンクリボン自販機」を設置。売上金の一部が推進団体へ寄付されます。

今や、スーパーやコンビニと肩を並べるほどの流通チャネルに成長した「自販機」ビジネス。今後は、ネットと連動させた多様なコンテンツやサービスを提供する“無人店舗マシン”として、日本のお家芸ぶりを発揮していくことでしょう。

余談ですが、これまでは自販機の一等地は“左上”とされてきましたが、アイトラッキング技術によって、最も視線が集まるポイントは“左下”であることが判明しています(「ダイドードリンコ」調べ)。

※参考:
日本自動販売機工業会         http://www.jvma.or.jp/
日本コカ・コーラ              http://www.cocacola.co.jp/
サントリー食品インターナショナル   http://www.suntory.co.jp/
キリンビバレッジ              http://www.kirin.co.jp/
ダイドードリンコ               http://www.dydo.co.jp/
朝日新聞(2015年3月14日付)


 
 
 
 
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