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2015.09.01更新
 

ペットボトル容器の軽量化。環境配慮を目的に、0.1gの攻防を展開。
 

缶、紙、びんなどの飲料用容器全体に占めるペットボトルの割合が約7割に達し、今や容器の主役に躍り出ました。近年は、消費者の環境意識の高まりに応じ、飲料各社はペットボトルの改良にしのぎを削ります。特に、ペットボトルの原料となる「ペット」(PET=ポリエチレンテレフタレート樹脂)の使用量を削減できれば、製造時や廃棄時に発生するCO2の排出量を削減できるということで、ボトルの“軽量化”が大命題となっています。

軽量化競争の背景には、“充填”の進化があります。かつては、90℃に熱した状態で詰める“高温充填”が主流だったため、ボトルには高温・高圧に耐えうる頑丈さが求められ、軽量化は難しいとされてきました。ところが2000年代に入って“常温無菌充填”が普及。高温で殺菌した飲料を冷却し、あらかじめ殺菌されたボトルに無菌室で常温充填できるようになると耐熱性が不要となり、薄くて軽いボトルが実現。各社、競って開発合戦が始まり、現在では、飲料メーカー各社が自社工場内でペットボトルの設計から製造までを手掛けるようになりました。

2013年、[サントリー]は「天然水」で29.8gという、2ℓタイプで初めて30gを切る国内最軽量(当時)のペットボトルの開発に成功しました。しかし2015年2月、[コカ・コーラ]が、「爽健美茶」などを対象に29.0gという“ペコらくボトル”を打ち出し、軽さだけでなく、握りやすさ、注ぎやすさ、そして飲用後の潰しやすさ(正確には、しぼりやすさ)まで考慮した画期的軽量ボトルを誕生させました。[サントリー]の2年間続いたトップの座を奪った[コカ・コーラ]でしたが、2カ月後の2015年4月、今度は[キリン]が「アルカリイオンの水」で28.9gという最軽量(2015年7月現在)のペットボトルの導入を開始。軽量御三家ともいえる3社は、最軽量トップの座を巡って、わずか0.1gの争いに突入したのです。

飲料各社が軽量化にこだわる背景には、環境配慮への取り組みをアピールすることで他社との差別化を図り、消費者からの支持を得たいという思惑があります。中身の飲料自体とは別の、環境負荷削減が新たな競争の軸となれば、消費者はそれをもう一つの商品価値として認め、支持が得られることが期待されます。ペットボトルの軽量化やリサイクル技術の追求は、もはや飲料メーカーがグローバルで勝ち抜くための必須要素になっているといえます。

※参考:
PETボトルリサイクル推進協議会  http://www.petbottle-rec.gr.jp/
サントリー食品インターナショナル http://www.suntory.co.jp/
日本コカ・コーラ            http://www.cocacola.co.jp/
キリンビバレッジ            http://www.kirin.co.jp/
日経エコロジー(2015年5月号)
日経産業新聞(2015年6月17日付)


“生活習慣病”の要因が塩分なら、「減塩」を生活習慣にしてしまいましょう!
 

日本で一番多い病気が高血圧。患者は約4,300万人、国民の3人に1人で、65歳以上では3人に2人。まぎれもない“国民病”といえます。食事、運動、喫煙といった生活習慣が深く関わっているので“生活習慣病”と呼ばれています。

高血圧の原因は、塩分です。2015年版『日本人の食事摂取基準』(厚生労働省)によると、日本人の一日の食塩摂取量は、成人男性で9.0g未満から8.0g未満に、女性で7.5g未満から7.0g未満へと目標値が引き下げられました。ところが現実は、男性で平均11.1g、女性で9.4gと以前より減ってきてはいるものの、まだ理想値を上回っているのが現状です(厚労省)。ちなみに「日本高血圧学会」は一日6g未満を推奨しています。

「減塩」は個人の力ではなかなか難しいため、社会で取り組もうという動きが盛んになってきています。
呉市(広島)では、2008年から地元医師と料理人が協力して“減塩プロジェクト”を立ち上げ、レストランで減塩メニュー(一食の食塩量3g未満)の提案を行っています。
新潟県では、「にいがた減塩ルネサンス運動」を2009年からスタート。“1g減塩チャレンジ大作戦”を県内各地域で展開しています。

脳卒中や心臓病といった循環器病予防のための食生活改善を目的に“かるしおプロジェクト”を立ち上げ、一食当たり塩分2g未満を提唱するのは、[国立循環器病研究センター(以下、国循)](吹田市)です。美味しくないといわれる病院食を、“京料理”の考え方をベースに同院が画期的に改善。“塩分を減らしても美味しい”ではなく、“少ない塩分だからこそ美味しい”という新発想が注目され、ベストセラー『国循の美味しい!かるしおレシピ』シリーズで、病院食レシピ本の一大ブームを創り出したほど。

その他、[ほっともっと]では、今春から約30種類の弁当を対象に平均16%の減塩を実施。
「ほど塩レシピ」で一食当たり2.5g程度の減塩食を提唱する[ミツカン]は、日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」と共同で減塩レシピを開発。
[カゴメ]も、ケチャップが塩分のとても少ない調味料であることをアピール。「トマトケチャップで減塩レシピ」を提案しています。

ハムやソーセージは塩抜きする、牛乳やヨーグルトを加える、漬け物は浅漬けか塩出ししたものに、味噌汁は具を多くし、ラーメンはスープを飲み干すのをがまんする。醤油やソースは“かける”より“つける”にする------「減塩」のポイントは、徐々に薄味に慣れて、無理せず、できるところから始めることです。

※参考:
厚生労働省             http://www.mhlw.go.jp/
日本高血圧学会          https://www.jpnsh.jp/
広島県呉市             http://www.city.kure.hiroshima.jp/
にいがた減塩ルネサンス運動
https://www.kenko-niigata.com/21/step2/gen_en/index.html
国立循環器病研究センター    http://www.ncvc.go.jp/
ほっともっと              http://www.hottomotto.com/
ミツカン                http://www.mizkan.co.jp/
カゴメ                 http://www.kagome.co.jp/
朝日新聞(2015年4月29日付)


少子高齢時代の申し子? 需要高まる「空き家管理サービス」。
 

総務省の『平成25年住宅・土地統計調査』(5年に一度実施)によると、全国の空き家数は820万戸で5年前に比べ63万戸増。総住宅数に占める空き家率は13.5%と0.4ポイント上昇し、過去最高を記録。実に、7軒に1軒が放置状態ということになります。  空き家の増加は、ゴミ類の不法投棄、家屋の倒壊や破損による危険など、衛生上、景観上の周辺環境への悪影響に加え、不法侵入や放火といった犯罪面の住民不安を生み、今や社会問題化しています。

そこで、ついに国や自治体が“空き家放置対策”に本腰を入れ始めました。まず昨年11月、「空き家対策特別措置法(空き家法)」が成立(施行は2015年5月)。倒壊の危険がある“特定空き家”に対して、市町村が所有者に解体・修繕指導を行い、従わない場合は行政代執行で解体できるというもの。さらに、空き家を生む最も大きな要因とされてきた固定資産税の軽減措置にもメスが入りました。物件が建ってさえいれば、税金が更地の6分の1に軽減されるという優遇措置が、今後、空き家と認定された場合は、これまでの6倍の固定資産税が課せられます(実施は2016年度以降予定)。

空き家は、売れない・貸せない・壊せない“負動産”だ、などといわれる一方で、その深刻化する事態を商機と捉え、「空き家の管理代行ビジネス」に参入する事業者が急増しています。

各社、サービスの内容や料金体系などは若干異なりますが、基本は、居住していない一戸建てや分譲マンションを定期的に巡回して、郵便物・施錠・庭木・雑草などの確認、通気・通水、水漏れ・雨漏り・カビのチェック、簡易清掃などを行い、オーナーに報告するサービスです。

今年6月から「空き家巡回サービス」を新事業としてスタートさせた[京王電鉄]は、沿線住宅地の価値向上が狙い。戸建て月1回5,000〜9,000円、マンション7,000円。他に、東武鉄道、小田急電鉄、相鉄なども沿線の空き家対策の強化に乗り出しています。

[三井不動産リアルティ]が昨年から始めた「空家・空地巡回サービス」は、戸建て月1回5,400円からと、戸建て・マンション7,650円の2タイプ。

今年5月から近畿2府3県で「空き家巡回サービス」を2社協同で始めたのは、[日本住宅流通](契約締結担当)と[大和ライフネクスト](巡回業務担当)。戸建て月1回9,720円、マンション5,400円。

空き家ビジネスの最大の課題は、採算性です。まして、新規参入が増えれば、価格競争に陥ることが予想されます。まず、所有者の間に、空き家は適正に管理する義務があるのだという意識が広がることが、ビジネスとしての突破口が開ける必須条件といえそうです。ちなみに、空き家率が高いのは、1位山梨県、2位〜5位が四国4県。逆に空き家率が低いのは、宮城県、沖縄県、山形県の順でした。

※参考:
総務省統計局        http://www.stat.go.jp/
京王電鉄           http://www.keio.co.jp/
三井不動産リアルティ    http://corp.mf-realty.jp/
日本住宅流通        http://www.jyutaku.co.jp/
大和ライフネクスト      http://www.daiwalifenext.co.jp


 
 
 
 
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