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2017.10.02更新
 

「将棋」が若返ると、消費も跳ね上がります。
 

2016年、14歳と2カ月でプロ棋士となって62年ぶりに最年少記録を更新するや、今年にはデビュー以来の連勝記録を“29”に伸ばし、公式戦連勝記録も30年ぶりに塗り替えてしまった藤井聡太四段。本人の意図とは別に、“藤井フィーバー”は空前の将棋ブームを巻き起こし、様々な分野で経済効果を生んでいます。

「扇子」や「クリアファイル」、「単行本」といった直接的な“藤井グッズ”はもとより、対局中に食べたとされる「不二家LOOK」チョコレートが話題になったり、彼の愛読書でもある将棋専門誌『将棋世界』が注目されたり、藤井四段が子どもの頃に遊んだといわれる知育玩具「キュボロ」や子ども時代に彼が将棋のルールをおぼえたとされる「スタディ将棋」(くもん出版)などは品切れ状態に。
[ヨドバシカメラ]の各店舗では、将棋関連商品の取り扱いを3倍に増やし、専用コーナーを設けて対応。
また、全国各地の将棋教室(サロン、塾、道場)では、突如出現した、ちょっと年上のヒーロー棋士を目指して少年少女たちが押し寄せ、満員御礼状態に。入会希望者が2〜3割増え、受け皿や指導者が足りなくなるといった事態も。
一方で、対局中の食事が“藤井メシ”として話題になり、出前を注文する東京・千駄ヶ谷の将棋会館近くの蕎麦屋には、聖地巡礼のファンやメディアが殺到。思わぬところにも波及しているようです。

将棋の町、山形県天童市では、「ふるさと納税」の返礼品として将棋セットを用意したところ大人気となり、例年と比べて3倍近い申し込みがあったとか。
さらに、29歳で早世した村山九段の生涯を描いた映画「聖の青春」(2016年公開)や、15歳で将棋のプロとなった少年の成長と葛藤を描いた人気漫画「3月のライオン」が今年、実写映画化。これらの作品に、藤井四段の活躍が重なって少年少女の将棋熱に火をつけたともみられています。

今回のブームの特徴は、将棋のルールを知らなくても、対局姿や食事のメニューなど、棋士の一挙一動を楽しむといった“指さずに観る=観る将”と呼ばれるファンが多い点です。CS放送の「囲碁・将棋チャンネル」には、生で対局中継が観られると、入会申し込みが5倍にもなり、関係者を驚かせています。


※参考:
公益社団法人 日本将棋連盟     https://www.shogi.or.jp/
ヨドバシカメラ           http://www.yodobashi.co.jp/
朝日新聞(2017年6月9日付)
日経MJ(2017年6月21日付)
日経産業新聞(2017年7月3日付)



貧困の予兆? 低かったはずの「エンゲル係数」が、じわり上昇中。
 

家計の支出のうち食費の割合を示すのが「エンゲル係数」。暮らしぶりを表す経済的指標として、係数が低いほど豊かで、高いほどゆとりがないとされています。
日本でも、終戦直後は60%(2人以上世帯)を超える高さでしたが、その後は経済成長に伴って“順調に”下がり続けてきました。ところが、2005年を境に上昇傾向に転換。2010年頃から急激なV字を描き、ことに2014年から3年間の急伸ぶりは際立ち、2016年には25%の一線を超えて25.8%と、1987年以来、29年ぶりの高い数値を示すに至りました。(総務省統計局「2016家計調査」)
では、なぜ今、エンゲル係数は上昇しているのでしょうか。
最大の要因は、所得の伸びが追いつかないほどの食品価格の上昇です。2016年の1世帯1カ月の支出は28万2188円。10年前(2006年)の29万4943円より減少していますが、食費としては約4800円増えていることから、食品の値上がりがエンゲル係数を押し上げる要因になっていることがわかります。(総務省「家計調査」)
さらに、ライフスタイルの変化も大きく関与しています。共働き世帯がこの10年で10%余りも増え、働く女性の増加が食費への支出増につながっています。特に弁当や総菜といった調理食品は、「時間がなくて、ついお世話に」「割高だけど、時間を買うと思って…」と利用頻度は高まる一方。実際、調理食品への支出は、2006年の8202円から2016年には9494円と約15%も増えています。(総務省「労働力調査」「家計調査」)
加えて、少量でも単価が高く、手間のかからない食品を求める傾向が強い高齢夫婦・無職世帯が、総菜などへの支出を増やしていることも係数上昇の一因となっています。

今は、様々な要因が絡み合ってエンゲル係数が形成されており、一つの理由だけで上昇と貧困とを関連づけるには無理のある時代となっています。例えば、食以外の支出を切り詰めざるをえない人たちが、せめて“食”でささやかな贅沢を楽しみたいと、外食を一種のレジャーと捉えて積極的に支出する人たちが増えています。また、健康に気をつかって食事最優先でお金をかける人も少なくありません。
家計の中で食費が増え続けている日本----しかしそれは、もう食以外のモノを欲しいとは強く思わなくなったという価値観が浸透してきた表れという見方もできます。
エンゲル係数上昇の背景をひもといていけば、そこには今の日本の経済状況、ひいては今後の消費回復につながるヒントが隠されているのかもしれません。


※参考:
総務省              http://www.soumu.go.jp/
朝日新聞(2017年3月30日付)
日経MJ(2017年4月28日付)



暮らしの、新しいインフラです。再配達ゼロを目指して、「宅配ボックス」。
 

ネット通販の拡大に伴う取り扱い荷物の激増と、共働き世帯の増加などによる自宅不在率の高まりが招いた宅配便の再配達問題。この事態の解決策の一つとして、最近にわかに注目を浴びる形となっているのが、「宅配ボックス」です。

最近ではすでに、新築マンションに宅配ボックスは標準装備。業界内では“宅配ボックスを制する者がマンション業界の覇者にもなりえる”とまでささやかれているほどで、これまでエントランスの見栄え優先だったのが、宅配ボックスありきの設計に変わってきています。
その仕組みは、メーカーや種類によって多少の違いはありますが、主流となっているのは、配達員がボックスの画面や音声に従って荷物を入れ、配達済みの通知書を居住者(受取人)のポストに投函。居住者が荷物を受け取るには、個別の暗証番号でボックスを解錠する方式か、居住者の情報が登録されている操作キーやカードで解錠するタイプなどがあります。
[大京]は、今年度に竣工する自社マンションの各戸ごとに、郵便ポスト一体型の専用宅配ボックス「ライオンズマイボックス」を導入。
[三井不動産レジデンシャル]では、共用タイプの宅配ボックスを対象にITをフルに活用。特に、配送ドライバーのために、専用Webサイトから現在のボックス利用状況(混み具合い)が確認できるという、業界初のシステムを導入しています。

いま注目されているのは、普及が遅れている戸建て住宅向けの宅配ボックスです。その分野に力を入れているのが[パナソニック]。長年、宅配ボックスの販売が低迷していた同社は、認知度アップを目的に、日本で一番共働き世帯率が高いといわれる福井県あわら市の戸建て住宅100世帯に宅配ボックスを設置。昨年11月から今年3月まで、効果測定の実証実験を実施しました。その結果、49%もあった再配達率が8%と劇的に減少。その成果が報告されると今度は、同社に問い合わせが殺到。4月発売予定だった新製品の受注が当初予定の5倍以上にもなり、生産が追いつかなくなって発売を2カ月延期したほどの反響が。
[大和ハウス]は、ポストメーカーの[ナスタ]と[日本郵便]と組んで、戸建て向けの門柱一体型「クォール・ディーボックス」を開発。表札、インターホン、ポストと宅配ボックスが一体となったタイプです。

こうした動きに国も後押し。環境省は国交省と連携して設置費用の50%を補助する制度を新設し、17年度予算案に約5億円を計上。全ての宅配業者が利用可能なオープン型の宅配ボックスであることが条件で、初年度にはまず500カ所を目標に掲げています。


※参考:
環境省              https://www.env.go.jp/
国土交通省            https://www.mlit.go.jp/
大京               http://www.daikyo.co.jp/
三井不動産レジデンシャル     http://www.mitsuifudosan.co.jp/
パナソニック           http://sumai.panasonic.jp/
大和ハウス工業          http://www.daiwahouse.co.jp/
日本経済新聞(2017年3月6日付/同4月10日付)
日経産業新聞(2017年4月6日付/同6月1日付)
週刊朝日(2017年6月16日号)


 
 
 
 
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