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2020.03.02更新
 

タピオカブームは、いつも景気後退期にやって来る!?
 

街なかで、女子が集まって長蛇の列ができているところには、だいたいタピオカドリンクのお店が-----熱帯原産のキャッサバという芋の根茎から作られるでんぷん団子が入った台湾生まれのミルクティーが、2019年のグルメシーンを席捲して大ブームに。“タピる”とか“タピ活”という言葉が行き交い、その、弾力のある食感と透明な容器を通して目を引く黒い粒のかわいさがSNSへの投稿欲をかきたて、「ぐるなび」の“今年の一皿”にも選出されました。

提供する側にとっては、原材料費の安さが魅力で、これだけ原価が低いヒット商品も珍しいといわれるほどの利益率の高さ。加えて、タピオカドリンクを作る際に、特別な技術や大きな厨房設備は必要なく、小規模な店舗スペースで少人数での運営が可能。そのため、異業種からの参入ハードルもかなり低くなっています。2019年3月時点で32社だったタピオカ関連企業が、半年後の8月にはほぼ2倍の60社に急増(東京商工リサーチ)。新規に会社を興したというより、既存企業が業態を変更しての参入が多く見られます。それは原材料の輸入量にも表れており、2019年上半期には、前年同期の21倍と需要が急拡大(大阪税関)。専門店だけでなく、大手飲食チェーンもタピオカメニューの提供に本腰を入れてきたことを裏付けています。

実は、タピオカドリンクが日本でブームになるのは今回で三度目。
第一次ブームは1992年ごろに発生。すでにバブル経済が弾け、株価も下落して実体経済が急速に悪化していたころでした。第二次ブームを迎えたのは2008年ごろ。本場、台湾ブランドが上陸して盛り上がりを見せ、日本もようやく景気回復の兆しが見えてきた矢先、リーマンショックに見舞われ、世界経済は一気に悪化。株価も暴落。そして、2018年から始まった第三次ブーム……。過去二度のブームとも不況に前後して起きているため、二度あることは何とやらで、今回もそういった前兆では? と、金融界を中心にまことしやかに囁かれているのです。

単なる“アノマリー(科学的根拠がなく起こる説明不可能な経験則に基づいた事象)”の一つにすぎないと一笑に付す見方が大半を占める一方で、景気悪化が起因となり、土地や商業施設の賃料が下がると、出店資金が低く抑えられ、低単価の商品を提供する業態にも商機が訪れるという、まさにタピオカ店にとっての“景気悪化追い風説”も、あながち偶然ではないのかもしれません。

“快晴”とは言い難い日本経済の先行き。やはり今回のタピオカブームが“三度目の正直”となって、すでに景気後退期に入っていることを知らせる“炭鉱のカナリア”となるのか。今後の動きが注目されます。
ちなみに、タピオカミルクティーは別名“バブルティー”とも呼ばれています。単に、粒の形状からの意味だといいのですが……。


※参考:
東京商工リサーチ       https://www.tsr-net.co.jp/
大阪税関           https://www.customs.go.jp/osaka/
日本経済新聞電子版(2019年9月10日付)
日経MJ(2019年9月11日付)





時間も料金も大幅カット。“染め”に特化した「ヘアカラー専門店」、急拡大。
 

ある調査で、中高年女性に「自分の外見で気になる点は何ですか?」と聞いたところ、“体重”や“顔のシワ・たるみ”を抑えて断トツで1位になったのは、“髪色(白髪)”でした。最近、グレーヘアのオシャレが話題となり、染めない選択肢が広がる中にあっても、白髪は老けて見られるとの思いが根強く、髪が1cm伸びても平気だが、白髪が1cmあるのは許せないというのが、微妙な女性の心理。

しかし、美容室(サロン)に月イチで“染め”に通うのは、経済的にも時間的にも厳しい。では、カラーリング剤を買ってきて自宅で染めようとすると、用意が面倒で家の中も汚れる、染めムラが出てみっともない、後頭部や襟足などキレイに染められない、なにより時間がかかって疲れる……。

このように、白髪を染めるには、仕上がりを考えるならサロンカラー、費用を考えるならホームカラーという、二つの選択肢しかありませんでしたが、最近、第三の選択肢として出現して急速に増えているのが「ヘアカラー専門店」です。通常のサロンで行っているヘアカラーメニューに特化し、それだけしか行わないサロンです。毎月でも通いやすいホームカラーレベルの料金設定(サロンの半額以下)で、サロンレベルの仕上がりが実現できるとあって、40〜60代女性を中心に支持を集めています。

全国で88店を展開する[fufu](運営/Fast Beauty)の場合、リタッチ(根元染め)が2400円(税別)。また、58店を展開する[チョキペタ](運営/アルテサロンHD)は、なんと税込みで1900円。共に、施術時間は1時間前後。まさに、自分で染める手間を考えると、店の方がいいと思えるコスパです。

店舗の立地も、スーパーなどの一角に多く、主婦が買い物ついでのスキ間時間に気軽に立ち寄れるのが魅力。商業施設側も、顧客の満足度が高まると出店を歓迎。

さらに、スタッフの雇用や勤務環境にもカラー専門店ならではの特徴が。

“染め”だけできればいいため、何十年もブランクがあったり、育児が忙しい元美容師など、結婚や出産を機に辞めざるを得なかった40〜60代の“休眠美容師”が即戦力で現場を支えています。利用者にとっては、年齢が近くてほっとする、という心理的効果も。

白髪が生えてくるのを止めることはできません。そのため、ヘアカラーは継続的に行わなければいけないものとなります。ヘアカラー店にとっては、リピートせざるを得ない集客モデルが自然にできていることになり、安定した収益が約束されます。

2019年時点での全国のサロン数は約24万8000店(厚労省)。全国のコンビニ数の5倍近くもあるサロンのオーバーストア化が進行するいま、生き残りをかけて登場した美容界の新業態「ヘアカラー専門店」。客・商業施設・美容師の三方良しで、市場はさらに拡大しそうです。


※参考:
fufu                     https://fufucolor.com/
チョキペタ                  http://www.chokipeta.com/
厚生労働省                  http://www.mhlw.go.jp/
一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会 https://www.jfa-fc.or.jp/
日本ヘアカラー専門              https://nihon-hc.co.jp/
日経MJ(2019年11月22日付)



“トランクルーム”から“倉庫”まで、「収納サービス」市場は拡大の一途。
 

日本の住宅は年々小さくなっており、1戸当たりの床面積はこの20年の間に約12平方メートル(7畳分)も減っているといいます(国交省)。高騰する住宅価格を抑えようと、1戸の居住面積を縮小していくと、自ずと部屋の広さを確保するために収納スペースが削られることになり、住居に入りきらない家具や衣類、レジャー用品などの居場所にシワ寄せが。しかし、 いくら“断捨離”が流行っているといっても、あぶれたモノ=不用品というわけではなく、それらを一時的に“避難”させる受け皿として活用されているのが、近年、右肩上がりで成長している「収納サービス」です。

「収納サービス」には、三つの事業分野があります。

一つ目が、建物内に専用の収納スペースを設けた「レンタル収納」。主に不動産業者による運営が多く、収納サービス全体の約6割を占めます。次に、屋外のコンテナボックスや鋼製物置などを収納スペースとして提供する「コンテナ収納」。そして三つ目が、倉庫事業者が運営し、国交省の認定が必要な「トランクルーム」。この分野が特に進化と拡大が目覚ましく、2018年の市場規模はここ10年で倍増。拠点数は約9500カ所と、ファミレス(約9600店)に肉薄する勢いです。

最近は、収納サービスにも様々なデジタル技術が活かされています。
その一つが「クラウド収納サービス」。いわば、“宅配型の収納サービス”で、専用アプリを使って、預けたい荷物を集荷し倉庫で保管。必要な時に持ってきてもらうというサービスで、荷物を1点ずつ写真に撮り、利用者はスマホで閲覧可能。また、預けた服などが不用になればオークションサイトに代理出品してくれるサービスも登場するなど、サービス内容は日々進化、広がりを見せています。

企業向けの倉庫業界にも“物流テック”というべき新しい波が押し寄せています。
これまで大手が手をつけなかった、“ちょっとの量・ちょっとの期間”の貸し借りをマッチングする“オンデマンド倉庫”を国内で初めて立ち上げた、[souco]。
また、日々の出荷作業や在庫確認といった一連の物流業務をすべてオンライン上でアウトソーシングできるプラットフォームを展開するのは、[オープンロジ]。
それぞれ、物流業界の人手不足やドライバーの労働環境の改善、業務コストの大幅削減に寄与しています。

かつては単に、法人相手の“貸物置”的存在だった「収納サービス」も、拠点数の増加や個人利用者の認知度の高まりもあって年々需要増が続いています。日本の住宅事情を鑑みたとき、収納の悩みは今後も深まる見通しで、市場拡大の余地はまだまだ大きいといえます。どうやら、今後は、ITの活用がカギとなりそうです。


※参考:
国土交通省          https://www.mlit.go.jp/
souco             https://www.souco.space/
オープンロジ         https://www.openlogi.com/
日経MJ(2019年6月3日付/同10月11日付/同11月1日付/同12月6日付)
日本経済新聞電子版(2019年7月24日付)



 
 
 
 
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