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2020.08.03更新
 

根強い健康志向が強力な後押し。激戦続く「ビネガードリンク」市場。
 

料理の調味料の一つとして台所が定位置だった“酢”が、今や「ビネガードリンク(酢飲料)」とオシャレな飲み物に姿を変え、私たちの日々の食生活に溶け込み、飲料市場をにぎわせるまでになっています。

酢に、あらかじめ果汁などを加えて飲みやすくアレンジした飲み物が「ビネガードリンク」。もともと酢には、疲労回復や食欲増進効果があるとされていましたが、そこに内臓脂肪の減少や血圧低下、さらに認知症予防などの効果が期待されることが人気テレビ番組でも繰り返し取り上げられたことで、健康志向の高い消費者のハートをつかみました。

“酢を飲む”という、なじみの薄い食文化が生まれたのは、今から24年ほど前のこと。ビネガードリンクのパイオニア的商品として[タマノイ酢]から「はちみつ黒酢ダイエット」が発売されました。それまでにないコンセプト&カテゴリーで業界も注目。社内でも手応えがあったものの、いざフタを開けてみると市場の反応はいまいち。雑誌の“まずいものランキング”の1位に輝いてしまうほどでした。原因は、飲酢の効能が巷で認知されていないことでした。そこで同社は巨額の宣伝費をかけ、いかに健康効果があるかの認知拡大戦略を決行。やがて、口コミ効果もあって、今日のブレークにつながる大逆転を果たしたのでした。

メーカー主要5社の販売額・数量とも軒並み前年比2ケタ増と好調(2019年)。業界トップを走る[ミツカン]は、この5年間、右肩上がりで拡大。定番人気の「黒酢ドリンク」シリーズに加え、今春、りんご酢に果汁を合わせた「フルーティス」を発売。「ざくろラズベリー」「ピーチライチ」など、ストレートと希釈タイプ、計5種類のシリーズです。

2018年以降、急伸しているのが、“美容大国”韓国の果実酢「美酢(ミチョ)」シリーズ(CJ FOODS JAPAN)。黒酢ベースが市場の大部分を占めるなか、“100%果実発酵酢”というコンセプトでアピール。“ビューティービネガー”として売り出し、美容に関心の高い若い世代を攻略し、従来の酢のメインターゲットである中高年層から、20〜30代の新たな購買層の取り込みに成功しました。ざくろ、マスカットなど、全5種類のフレーバー展開をしています。

[ヤクルト]からは、鹿児島県霧島産のつぼ造り黒酢と紀州南高梅を使用したうめ果汁を合わせた「黒酢ドリンク」を発売。[メロディアン]は、玄米黒酢にりんご果汁とハチミツをブレンドした「黒酢で元気」を展開中。

市場でのメーカーシェアは目まぐるしく入れ替わり、競争は激しさを増す一方。今後は、飲酢未体験の若者向け商品の充実を図り、いかに裾野を広げていけるかにかかっています。


※参考:
タマノイ酢      http://www.tamanoi.co.jp/
ミツカン       http://www.mizkan.co.jp/
CJ FOODS JAPAN https://cjfoodsjapan.net/micho/
ヤクルト本社     https://www.yakult.co.jp/
メロディアン     https://www.melodian.co.jp/
日経MJ(2020年3月23日付)



高画質、前後カメラ、夜間・360度撮影……需要高まる「ドライブレコーダー」。
 

あおり運転をはじめとする危険行為が原因の交通事故・事件が後を絶たない昨今。一躍、ドライブの必須アイテムに躍り出たのが「ドライブレコーダー(以下、ドラレコ)」です。連日のように流されるワイドショーのドラレコ映像を見せつけられると、それまでは“あったらいいな”ぐらいだったのが“付けなきゃマズイな”にシフト。事故状況の記録という自衛のツールとしての需要が高まるにつれ、商品のクオリティーは加速度的に進化を遂げ、市場はにわかに活気を帯びてきています。さらに、今年6月、あおり運転の厳罰化が盛り込まれた『改正道路交通法』が施行したことで、ドラレコへの注目度がいっそう高まっています。

2008年当時、ドラレコの普及率はタクシーでほぼ50%、自家用車はわずか0.1%にすぎませんでした(国交省)。それが今や、販売台数は2013年比で約6倍と右肩上がりに伸長。最近の市場傾向としては、レーダー探知機などの専門メーカーだけでなく、高い映像&音響技術を有する家電メーカーの参入が目立っています。

売れ筋モデルに共通する特徴としてまず挙げられるのは、高性能化。前方に加えて後方の映像も記録できる“2カメラ”搭載モデルの販売台数が急伸しており、ドラレコ全体の半分近くを占めるほど。また、前方・両サイド・車内を1台で撮影可能な“360度カメラ”搭載モデルも人気急上昇。
画像の高精細化も進み、200万画素相当のフルハイビジョンモデルが主流となるほか、より高精細な370万画素以上のモデルも徐々に増加。夜間撮影機能搭載モデルや、トンネルなどの明暗差によって生じる“白とび・黒つぶれ”に強い“HDR(ハイダイナミックレンジ)センサー”搭載モデルも大きく伸びています。

シェア的には、[コムテック][JVCケンウッド][ユピテル]の3社で7割超を占めている現状。ドラレコの平均価格は1万5000円前後で、2カメラ搭載は2万円〜2万5000円程度、360度撮影モデルは3万円〜といったところでしたが、高性能モデルの販売が増加したことで2019年の平均価格は4000円ほどアップ。通常、市場拡大による価格競争で平均価格は下がるはずですが、ドラレコの場合は、“高性能=高額”の商品が売れ筋のため、強気の値上がり傾向は当分続きそうな気配。

“負”の必要性を中心に語られることの多いドラレコですが、一方では走行中の景観を楽しむためのビデオ映像代わりに使う人も少なくありません。同乗者との会話も記録され、旅行やレジャーでの思い出を動画として残せる平和的活用は、ドラレコ導入の大きな付加価値となり得ます。

必需品として定着に拍車がかかると思われるドラレコ市場は、やっと成長期にさしかかったところです。


※参考:
国土交通省   https://www.mlit.go.jp/
コムテック   http://www.e-comtec.co.jp/
JVCケンウッド https://www.jvckenwood.com/jp.html
ユピテル    https://www.yupiteru.co.jp/
日経MJ(2020年3月11日付)



自粛の産物、“家トレ”。フィットネスもオンラインの時代へ?
 

感染リスクの高い“3密”空間になってしまう場所の一つとして挙げられたスポーツジムが軒並み休業に追い込まれるなか、がぜん元気なのが「オンラインフィットネス」です。パソコンやスマホ、タブレットがあれば、オンラインのサイト(ネットにアクセス)やアプリ(ダウンロードしてインストール)のライブ配信や動画コンテンツを活用して在宅トレーニングを始めることができるサービスです。

通う必要がなく、全国どこででも利用できる点や、自分の体調やスケジュールに合わせてできる点、ジムに比べ料金が抑えられる点(無料コンテンツも多数)。そして誰にも見られずに行える点などが相まって支持を集めています。唯一の欠点といえば、“続けられるかは自分次第”だという点でしょうか。

オンラインフィットネスは、大きく3つのタイプに分けられます。

配信されている動画を好きな時間に見ながら行う「配信型」。

決まった時間に動画配信ページにアクセスし、リアルタイムでレッスンが受けられる「ライブレッスン型」。ビデオ会議アプリ“ZOOM”を使用して数名とのレッスンも可能です。

3つ目は、担当のトレーナーがつき、その人に合ったトレーニング法や食事法などをアドバイスしてくれる「パーソナル型」。その場でフォームをチェックしてもらえる点がポイントで、その分、料金はお高め。

日本で最も認知度の高いオンラインフィットネス動画配信サービスといわれているのが、[LEAN BODY(リーンボディ)]。筋トレ、ヨガ、ボクササイズなど400ものプログラムを月額980円で見放題(入会費、無料)。1レッスンは5〜40分。コロナ禍の影響で3月の新規登録者数は1月比で14倍に。

早朝5時から深夜24時まで、30〜60分のライブレッスンを配信しているのは、双方向型ライブ配信フィットネスアプリ[SOELU(ソエル)]。200人の専門インストラクターによって毎日100クラス以上を開講。月2回のレッスンで月額1980円の“スターターコース”から始められます。

[FiNC(フィンク)]は、900万ダウンロードを突破した(2019年)、ヘルスケア/フィットネスで国内NO.1アプリ。特許を取得した“パーソナルトレーナーAI”を使い、運動から食事、睡眠に至るまで、その人に合った総合的なサポートが売り。

すでに、コロナ禍以前より頭角を現し始め、業界地図を塗り替えるだけの力を秘めているといわれるオンラインフィットネスの台頭。今後は、今までのような、ジムに客を集めるといった箱型タイプは姿を変え、オンラインと共生するハイブリッド型が生き残っていくのかもしれません。

それにしても、今回の“家トレ”市場拡大に拍車をかけた最大の立役者が、新型ウイルスだったとは、なんとも複雑な思いにかられます。


※参考:
LEAN BODY https://lean-body.co.jp/ 
SOELU    https://www.soelu.com/
FiNC     https://finc.com/
日経MJ(2020年4月15日付/同4月24日付)



 
 
 
 
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