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2020.07.01更新
 

作り手から、直接消費者に。売り方を革新する、「D2C」の拡大。
 

最近、アパレルや化粧品業界を中心によく見聞きする「D2C(DtoC)」という言葉。「Direct to Consumer」の略で、メーカー(ブランド)が自社で企画・製造した商品を自社の販売チャネル(通販などのECサイト)を通じて消費者に直接販売するビジネスモデルのことです。

D2Cに参入することで得られるメリットは数々あります。
まず、仲介業者への手数料や実店舗の運営によるコストを削減でき、その分、質の良いものを低価格で販売できる点。また、自社のECサイトを通じ、生の顧客データを独自に直接収集できること。これを、スピーディーに商品開発などのマーケティングに反映。売れ行きをすぐに把握でき、少ロットでの製造・販売が可能となるため、効率的な商品ラインアップを組むことができます。さらに、ブランドの理念や世界観をじかにユーザーに伝えられること。これこそがD2Cの最大のメリットといえます。ユーザーが買い物をする過程で、自然とブランドのストーリーに入り込み、その結果、ブランドに共感するコアなファンの囲い込みを実現。商品的にも、ニッチなニーズに刺さる製品が提供でき、ファンとの強い連帯感を生みやすいという、デジタルネイティブ世代の消費行動の“好み”と一致します。

D2Cと、これまでの通販との一番の大きな違いは、D2Cが、サイトの立ち上げから顧客への情報発信、広告、マーケティング、販売まですべてを“デジタル”で完結している点です。

成功事例の代表ともいえるのが、メンズコスメの「BULK HOMME(バルクオム)」。自社のECサイトに集客し、初回限定の特価で商品の認知、定期購入コースによるファンの囲い込みと、D2Cの特性をフルに活かしています。

また、身長155cm以下の女性をターゲットにしたD2Cブランド「COHINA(コヒナ)」や、昨年[伊藤忠]がD2Cに乗り出して話題となったアパレルブランド「JAMAIS VU(ジャメヴ)」など。

ほかにも、農業・水産・加工品の生産者が、個人や飲食店などに直接商品を販売する一次産業のD2Cプラットフォームづくりも広がっています。

有機野菜や肉、魚などの産直サービス“食べチョク”を運営する[ビビッドガーデン](東京)。農水産物のD2Cを手掛ける[ポケットマルシェ](岩手)には、2000人以上の農家や漁師が登録しています。

“好きだから買う”“あの人のつくるものは美味しい”----マスから個へと売り方を変えるD2C。小さなベンチャー企業でも大手に勝てる可能性をはらんでいるところが大きな魅力です。もちろんその実現には、自分で認知獲得を図り、高度なブランディングが求められます。選ばれるECサイトをつくるための宣伝活動やマーケティングへのコスト負担を含む重要度が、より大きくなることは言うまでもありません。


※参考:
バルクオム         https://bulk.co.jp/
コヒナ           https://cohina.net/
ジャメヴ          https://jamaisvu.co.jp/
ビビッドガーデン      https://vivid-garden.co.jp/
ポケットマルシェ      https://www.pocket-marche.com/
日経МJ(2020年3月18日付)



安全に食べられるのに廃棄。静かに需要増える「期限切れ食品」。
 

形が崩れたりした規格外や賞味期限切れの加工食品、家庭・飲食店からの食べ残しといった、まだ食べられるのに捨てられる食品を指す「食品ロス(フードロス)」。2019年度の食品ロスは約643万トン(農水省)……と言われてもピンときませんが、この量が東京都民の1年間に食べる量(約621万トン)を上回っていると聞くと驚くしかありません(東京都環境局)。おまけに、それらを廃棄するためのコストが年間2兆円にも及ぶとのこと。明らかに、莫大な経済的損失につながる非合理的な状況といえます。

現在、ほぼすべての加工食品には期限表示がされています(未開封が条件)。
「賞味期限」とは、品質が変わらず“おいしく”食べることができる期限の目安で、菓子類やカップ麺、缶詰といった、劣化しにくく、その期日を多少過ぎたからといって食べられないというほどではないような食品が対象です。

一方の「消費期限」は、表示されている期日を過ぎたら食べない方がいいという安全期限のこと。生鮮品や総菜など、日持ちしないものが対象となっています。

しかし、賞味期限切れ=健康に害を及ぼすと混同している人が少なくなく、それが廃棄という行為に拍車をかけている一因とも。また、大量の食品ロスを生み出している背景には、長年にわたる小売業界の“商習慣”が根深く横たわっているといわれています。それは、“3分の1ルール”というもので、流通過程において製造日〜賞味期限までの合計日数を3等分し、残りの3分の1になると賞味期限前でも返品・廃棄されるという習わし。この、品質に問題がないにもかかわらず店頭から撤去せざるを得なくなるという商習慣に関しては、近年、メーカーや小売業者の間でも疑問視されており、見直しが検討されています。

2016年にデンマークのコペンハーゲンで誕生した、賞味期限切れ食品専門スーパーが火付け役となって、世界中で賞味期限切れ食品の格安販売というコンセプトが拡散しました。日本でも、賞味期限切れの商品をメーカーや卸、小売店から仕入れ、激安価格を集客の目玉にする異色のスーパーが登場し、にぎわっています。ちなみに、賞味期限切れ食品の販売は、法律に抵触することはありません。

消費者庁の調査によると、“賞味期限が過ぎてもすぐに捨てず自分で判断する”人が約51%と前年比7ポイント増で、賞味期限に対する寛容度は年々高まっているようです。だからといって、誰しもが期限切れ商品を買った方がいいというような単純な話ではなく、期限切れを気にしない人のための選択肢が用意されている、ということが重要なことです。


※参考:
農林水産省         http://www.maff.go.jp
東京都環境局        https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/
消費者庁          https://www.caa.go.jp/
日経MJ(2020年3月30日付) 



ちょっとお高い「バナナ」が売れてます。
 

日本で最も食べられている果物「バナナ」をめぐって、今、新しい風が吹こうとしています。その一つがバナナの高価格化です。5本一房で200〜300円程度の一般的な価格帯に対し、常識を覆すような高額なバナナの出現です。

果実商社[ユニフルーティージャパン](東京)が取り扱っているのは、「地球育ち しあわせバナナ」。フィリピン・ミンダナオ島の高地で栽培されたバナナに、日本で追熟職人の手により中心部までしっかりと熟成・糖化。価格は3本で2160円(毎日数量限定)。都内の百貨店や高級フルーツ店で販売され、毎日売り切れるほどの人気ぶり。

岩手県の[ごろすけACファーム]が生産するのは、無農薬栽培で皮ごと食べられる「北上縄文実芭蕉(きたかみじょうもんばなな)」。バナナの種を半年かけてマイナス60度で冷却後に解凍する“凍結解凍覚醒法”と呼ばれる栽培法を採用。1本1000円から。

同様の栽培法で商品化に成功したのは、農業法人[北海道Skyファーム](釧路)の「北限のバナナ」。糖度が25度と、一般的な海外産バナナ(15度程度)と比べて段違いに甘いバナナです。1本1000円程度で今秋に出荷予定。

千葉県産の「奇跡のバナナ」は5本セットで6000円。鹿児島県産の「神バナナ」は1本620円。こちらも糖度が25度で、皮が薄く無農薬栽培のため、皮ごと食べられます。

さらに、バナナジュース専門店の増加もバナナ消費を盛り上げています。

「スイーツ&ジュース 国産バナナ研究所」(東京)は、日本初の国産バナナだけを使ったジュース専門店。1本1000円を超える国産バナナを丸ごと贅沢に使ったジュースが味わえます(1杯700円〜)。バナナと牛乳だけで氷は入れず、砂糖やハチミツなども入れずにバナナの甘さで勝負。ストローで吸うのも一苦労なほど、ねっとり濃厚な味わい。

消費量の99.9%を輸入に頼っているバナナ。つまり、0.1%前後というわずかなシェアにもかかわらず、個性を存分に発揮し高付加価値をアピールして健闘する国産のバナナ。図らずも、安価であまりにも身近なこれまでのイメージとのギャップが、新たな“感動”を与え、需要を押し上げる要因となっているのかもしれません。


※参考:
ユニフルーティージャパン     https://www.unifrutti.co.jp/
日経MJ(2020年3月23日付)
日本経済新聞電子版(2020年3月26日付)



 
 
 
 
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