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2022.06.01更新
 

あっという間に、EV(電気自動車)の4割が、海外勢。
 

 ここ10年ほどの海外のEV市場の成長は目覚ましく、その市場規模は、2020年の販売台数で、中国が100万台、欧州が72万台、米国が25万台に達したのに比べ、日本は1万4600台と大きく水をあけられた感は否めません。また、2021年の国内EV販売に占める輸入車の割合は4割強と、対前年比21.5%の上昇に対し、国産EV車の上昇率は6.3%にとどまっています(日本自動車販売協会連合会)。
それにしても、2009年に[三菱]が「i-MiEV」を、翌2010年には[日産]が「リーフ」と世界に先駆けてEVを発売し、一時は世界のEV市場をリード。つい2年ほど前まで、国内EV市場は日系メーカーが8割超を占めていたものでした。
 ではなぜ、投入時期は遅れていなかったのに、世界の急ピッチなEV化の流れに乗り遅れてしまったのでしょう。数ある要因の中でも最大の要因は、日本のメーカーが、EVよりハイブリッド車(HV)に開発・販売力を傾注してきたことにあるといわれています。日本が誇る高性能なHVの技術が、結果的に国内のEV市場への本格参戦を躊躇させていたとは、なんと皮肉なことでしょう。

 EV化に及び腰気味の日本メーカーを尻目に、EVで先行する欧州ブランドの面々がこぞって上陸。続々と日本のEV市場で販売攻勢をかけます。
 輸入車の筆頭クラス[テスラ]は、2021年の販売台数が前年の1900台から5200台超と伸び、輸入EV全体の底上げに貢献。
 2030年までに新車のすべてをEVにすると衝撃的な発表をした[メルセデス・ベンツグループ]は、昨年、日本で2車種目となるEVを投入。[プジョー]の新型車は、輸入EVとしては手頃な412万円で販売。さらには、今年2月、韓国[ヒョンデ](旧ヒュンダイ/現代)がEVとFCV(燃料電池車)の2車種で日本市場へ復帰しました。
 巻き返しを狙う日本勢も、今年、EVの新型車投入を本格化。“EV元年”といえるほどのスケールで車種の拡充を図ります。
 2030年までに車種の半分以上をEVかHVにする方針の[日産]からは「アリア」を。
2030年に350万台をEVに。そのために8兆円を投資するという[トヨタ]は「bz4x」を。2030年までに全車種の4割以上をEV、HV、PHV(プラグインハイブリッド車)にする方針の[スバル]は、[トヨタ]と共同開発した初のEV「ソルテラ」を5月に発売。[三菱]は、[日産]との共同開発による、軽のEVを販売予定。

 政府は昨年、2035年までに乗用車の新車でガソリン車をゼロにし、電動車(EV、HV、PHV、FCV)100%を実現するという方針を定めました。22年度予算で、購入費や充電インフラ整備費などの補助を一気に拡充し、375億円を計上。
 世界のEV保有台数は2018年〜2020年の直近3年で約2倍に急伸しました。“価格が高い”“使い勝手に課題がある”など、EVに対して日本でよく耳にする話は、もはや世界で通用する段階でなくなってきているようです。ガソリン車の販売規制が決まった以上、メーカーとしてはEVという舞台で戦わざるを得ません。すでにほとんどの海外メーカーが、世界戦略として“次世代車はEV”と明確に位置付けている以上---。

※参考:

(一社)日本自動車販売協会連合会  http://www.jada.or.jp/
テスラジャパン          https://www.tesla.com/ja_jp/
メルセデス・ベンツグループ    https://www.mercedes-benz.jp/
プジョー             https://www.peugeot.co.jp/
ヒョンデ             https://www.hyundai.com/jp/
日産自動車            https://www.nissan.co.jp/
トヨタ自動車           https://toyota.jp/
スバル              https://www.subaru.jp/
三菱自動車            https://www.mitsubishi-motors.co.jp/
日経МJ(2022年2月21日付)
朝日新聞(2021年12月15日付/2022年4月6日付/同4月13日付/同4月15日付)


究極の脱プラ。「食べられる食器」、続々。
 

 プラスチックごみによる海洋汚染が問題化されて久しく、その廃棄量を抑えるさまざまな取り組みが世界規模で進められています。なかでも、日本では、脱プラを図るための「食べられる食器・容器」の開発が広がりを見せています。折しも4月から、小売りや宿泊業者などに対し、スプーンやフォークなど12品目のプラ製品の削減を求める法が施行されており、食品関連業界から熱い視線が注がれています。

 “もなか”の皮の生産、全国一といわれる愛知県碧南(へきなん)市のアイスコーン製造会社[丸繁製菓]が開発・販売しているのは、「e-tray(イートレー)」という、もなか皮でできた食べられるお皿。汁物にも耐えるような耐水性の実現が最大の難関でしたが、“えびせんべい”の主原料でもある“ジャガイモでんぷん”を配合することで解決。水を入れても1時間以上、水漏れもせず形も崩れず、最後には丸ごと食べられる器が完成しました。“えびせんべい味”(10枚入り/967円)のほか、プレーン、オニオン味、紫いも味、焼きもろこし味と5つの味をそろえました。
 同社はまた、「食べられるお箸」を開発。食物繊維がレタスの約60倍と高栄養価の国産いぐさ100%を使用。食事後は、一口サイズにポキポキと折ってスナック感覚で食べることができます。5膳セットで2084円。

 社員食堂を運営する[勤労食](愛知県)は、クッキーでできたスプーン「PACOON(パクーン)」を開発。素材(味)は、おから、いぐさ、ビーツ、かぼちゃ、抹茶の5種類。管理栄養士が監修した、無添加の国産野菜にこだわっています。価格は、5種ミックス・20本入りで1620円。
 [アサヒビール]と、前述の[丸繁製菓]とのコラボから生まれたのが、食べられるコップ「もぐカップ」。容器の味は、プレーン、えびせん、チョコレート、ナッツの4種類。1箱10個入りでの販売で、Sサイズ(50ml)が1150円、M(100ml)が1200円、L(200ml)が1400円。
 まだまだあります。山梨県を代表するお土産お菓子「信玄餅」(桔梗屋)の容器を、プラから“もなか”にして、黒蜜も残さず食べられるように改良。
 国内の可食容器の草分け的存在である[木村アルミ箔](大阪)では、総菜を入れる「食べられる器」シリーズを販売。素材には、海苔、おぼろ昆布、かつお節などを使用。

 日本の人口一人当たりのプラ容器・包装の廃棄量は、世界で米国に次いで2番目という残念な結果に。“食べてなくなる食器”“食べてもおいしい食器”が広がるのと併せ、“使い捨て”という消費行動自体を変えることが求められているようです。

※参考:

丸繁製菓            http://marushige-icecone.com/
勤労食             https://pacoon.kinrosyoku.co.jp/
アサヒビール          https://www.asahibeer.co.jp/
桔梗屋             http://kikyouya.co.jp/
木村アルミ箔          http://www.kimura-alumi.co.jp/
日経МJ(2022年2月4日付)


住宅の狭さが市場拡大の要因? 増え続ける「トランクルーム」。
 

 コロナ禍の影響による働き方の多様化につれて居住環境も変化。それによって、「トランクルーム」などの“収納サービス”需要が拡大しています。
 昨年8月時点でのトランクルーム拠点数は、約1万2000カ所。直近8年間でほぼ倍増しており、ファミレスの店舗数(1万305店)を上回りました(日本フードサービス協会)。また、全国のトランクルーム延べ室数は、統計史上、初めて50万室を突破。市場規模は約759億円(2021年)と、10年前の2倍以上に跳ね上がっています。
全国で約2000の屋内型トランクルームと、約10万室の屋外コンテナを展開し、合わせて約6万人に利用されている[ハローストレージ](東京/運営:エリアリンク)や、全国67拠点、4万室を運営する[キュラーズ](東京)などが大手として市場をけん引しています。
 なお、一般的には、屋内型の“トランクルーム”や“レンタル収納”と、屋外型の“コンテナ収納”などを総称して「トランクルーム」と呼ばれています。

 近年のトランクルーム需要拡大の背景には、興味深い二つの要因が見られます。
 在宅勤務が広まり、自宅で作業をするスペースを確保するためにトランクルームを活用する人の増加が需要を押し上げていると思いきや、そうではないらしく、むしろ、在宅勤務者の多い会社で、事務所の規模を縮小したり、狭いフロアに移転するなど、オフィスのダウンサイジング化が進み、それに伴って発生する書類や備品などをトランクルームに預けるという、法人ニーズが増加していることが明らかになってきています。コロナ前には、個人と法人が7:3だったのが、今は5:5の割合に変化。
 もう一つの要因は、日本の住まいの狭さにあります。20年前に比べ、1戸当たりの床面積が15平方メートル以上も狭くなっているのです(国交省)。都心部を中心とした住宅の狭小化が、トランクルーム需要の拡大に貢献しているとはなんとも複雑なところ。

 土地所有者やビルのオーナーといった従来のトランクルーム事業者に加え、最近では、個人が新たに建てたビルを使い運営だけを企業に委託するケースや、日本のトランクルーム市場への参入を虎視眈々と狙う海外企業など、より最適な土地を巡って取得競争も激化。2026年には市場規模が1000億円を超えると予測され、コロナ下における不安定な経済情勢のなか、数少ない“伸びしろ市場”の一つとしていっそう注目が集まります。なにしろ、米国のトランクルームの普及率が10%なのに対し、日本はまだ1%にも満たないのですから。
 ちなみに、「トランクルーム」は日本固有の呼称で、国際的には「セルフ・ストレージ(保管)」といいます。

※参考:

(一社)日本フードサービス協会    http://www.jfnet.or.jp/
エリアリンク            https://www.arealink.co.jp/
キュラーズ             https://www.quraz.com/
国土交通省             https://www.mlit.go.jp/
日経МJ(2022年2月9日付)


 
 
 
 
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