金融・お金の情報
2025.09.01更新
 

「推し旅」で地域が潤う
 

「旅行」と聞くと、温泉やグルメ、観光名所が目的の定番コースを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、今じわじわと広がっているのが“推し”を目的にした旅、通称「推し旅」です。
「推し旅」とは、好きなアニメの舞台となった町や、アーティストが訪れたスポットをめぐる旅のこと。“聖地巡礼”という言葉で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。たとえば、アニメ『ゆるキャン△』の舞台となった山梨県では、作中に登場したキャンプ場や観光施設に実際にファンが訪れ、地元経済に大きな波及効果をもたらしました。
作品に登場したグルメを再現した飲食店や、キャラクターとコラボした限定グッズの販売など、地域ぐるみの取り組みも進んでいます。
最近では、アニメだけでなく、アイドルや声優、YouTuberなど「推し」の幅も広がっています。ファンの行動力は驚くほどパワフルで、「推しが訪れた」というだけで遠方から人が集まるほど。SNSでの拡散力もあり、観光誘致や地域ブランディングにも効果的と注目されています。
また、地方自治体や商工会が積極的に「推し旅」の仕掛けを行う例も増えてきました。ご当地キャラや町の景観と推しを組み合わせたARスタンプラリー、限定ノベルティの配布など、来訪者の「特別感」を演出する取り組みが好評です。「観光は足で稼ぐ時代から、共感で動く時代へ」と言われるように、旅行先を選ぶ基準は“情報”から“感情”へとシフトしています。
「誰かに勧められた」「SNSで見た」「推しが行っていた」――これらが、新しい観光の動機となっているのです。今後、少子高齢化やインバウンド回復の影響を受けながら、国内旅行のかたちも大きく変わっていく中で、「推し旅」は地域にとって大きなチャンス。単なる一過性のブームではなく、地元の魅力を再発見し、ファンとの継続的な関係性を築くための“仕組み”としての可能性も秘めています。
観光が低迷するエリアほど、「推し旅」を通じて人が集まり、経済が動く。誰かの“好き”が、町を元気にする。
それが、今の時代の新しい地域活性化のかたちなのかもしれません。

※参考リンク:
観光庁「アニメツーリズムに関する調査」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/
地方創生推進サイト(内閣府)      https://www.chisou.go.jp/


シャインマスカットに続け!フルーツの高級ブランド化
 

最近、スーパーやデパートの果物売り場で、ひときわ目を引く「シャインマスカット」。一房数千円、ときには一万円を超える価格にもかかわらず、その人気は国内に留まらず、海外にまで広がっています。
「それにしても、なぜこんなに高いの?」と感じるかもしれません。実はこれ、単なる高級品というわけではなく、日本の農業の未来をかけた、巧みな「ブランド戦略」の結晶なのです。今回は、日本のフルーツが世界を魅了する、その秘密に迫ります。
日本のフルーツが、時に宝石のような価格で取引され、それでも人々を惹きつける背景には、世界に誇るべき強みが複雑に絡み合っています。まず、職人技とも言える栽培技術が生み出す「圧倒的な品質」がその根幹にあります。日本の生産者は、果実一つひとつに驚くほどの手間と愛情を注ぎ、他に真似のできない品質を生み出します。これこそが「高くても欲しい」と思わせる付加価値の源泉です。こうした品質へのこだわりは、長い歳月をかけた「オンリーワン開発」にも繋がっています。例えばシャインマスカットは、開発に33年もの歳月をかけ、消費者の「あったらいいな」を徹底的に追求した結果、唯一無二の存在となりました。さらに、古くから果物が特別な「贈り物」として扱われてきた日本の「贈答文化」も、高品質・高価格帯のフルーツを受け入れる素地を育んだのです。
シャインマスカットの成功を受け、高級ブランド化の波は他のフルーツにも広がっています。

・宮崎県産マンゴー「太陽のタマゴ」
「糖度15度以上」など厳しい基準を設定し、それをクリアしたものだけが名乗れるという【品質保証戦略】で、最高級品としてのブランドイメージを確立しました。

・白いちご「淡雪(あわゆき)」
ほんのりピンクがかった美しい見た目は、SNS映えも抜群。希少な見た目を武器にした【デザイン戦略】で、ギフトとしての価値を高めています。

・石川県産ぶどう「ルビーロマン」
過去には一房100万円以上の値が付いたこともある、まさに「食べる宝石」。圧倒的な価格と希少性で他の追随を許さない【ラグジュアリー戦略】で、独自の地位を築いています。

作り手の情熱や産地の物語を「付加価値」として伝え、品質で他と差別化し、独自のブランドを確立する。これは、人口減少や後継者問題といった課題に直面する日本の農業が、世界市場で存在感を発揮するための、極めて重要な戦略です。
この視点は、業界を問わず、これからのビジネスの大きなヒントになるのではないでしょうか。次にフルーツを手に取るとき、その背景にある物語や戦略に少しだけ思いを馳せると、いつもより一層おいしく感じられるかもしれません。

※参考:
農林水産省     https://www.maff.go.jp
朝日新聞社     https://www.asahi.com
JA宮崎経済連   https://www.kei.mz-ja.or.jp


ふるさと納税返礼品、モノから「体験型」へ
 

「ふるさと納税」と聞くと、立派なお肉や旬の果物といった、地域の特産品を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。しかし最近、その選び方に新しい風が吹いているのをご存知ですか。
今、じわじわと人気を集めているのが、モノではなく、その地域ならではの「体験」を返礼品とする「体験型ふるさと納税」です。なぜ今、「体験」が多くの人の心をつかんでいるのか、その魅力と背景に迫ります。
返礼品のトレンドがモノから体験へとシフトしている背景には、私たちの価値観の変化があります。美味しい特産品ももちろん魅力的ですが、その地域を実際に訪れ、そこでしかできないことを経験するのは、忘れられない「思い出」になります。家族や友人と過ごす特別な時間や、新しい何かを発見するワクワク感。そうしたプライスレスな価値を、モノの所有よりも大切にしたいと感じる人が増えているのです。
また、現地に足を運ぶことで、自分が寄付したお金がどのように活かされているのかを肌で感じることができます。地域の人々と触れ合い、その土地の空気を吸うことで、「この地域を応援したい」という気持ちは、よりリアルで深いものになるでしょう。ふるさと納税が、知らなかった日本の魅力に出会う「きっかけ」になっているのです。
全国の自治体は、地域の特色を最大限に活かした、ユニークな体験プランを次々と生み出しています。

・北海道厚岸町では、牡蠣の水揚げ作業を間近で見学し、その場で新鮮な牡蠣を味わうことができます。

・石川県輪島市では、伝統工芸士から直接指導を受けながら、自分だけの輪島塗の箸づくりに挑戦できます。

・沖縄県恩納村の美しい海でのシュノーケリングやダイビング体験も、変わらず高い人気を誇ります。

・千葉県木更津市では、ポルシェの運転体験といったユニークな返礼品も登場し、大きな話題を集めました。

体験型返礼品は、単なる節税対策やお得な制度という枠を超え、私たちと地域社会とをつなぐ、新しいコミュニケーションの形と言えるでしょう。モノを選ぶ楽しみに加え、「次はどこへ行ってみようか」「こんな体験ができるのか」と、未知の出会いを探す楽しみ。それが、ふるさと納税の新たな魅力になっています。
この機会に、「体験」という視点で、応援したい地域を探してみてはいかがでしょうか。きっと、心に残る素敵な出会いが待っているはずです。

※参考:
マイナビふるさと納税    https://furusato.mynavi.jp
株式会社トラストバンク   https://www.trustbank.co.jp
経済産業研究所(RIETI)   https://www.rieti.go.jp


 
 
 
 
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